メイプルわっふるG

忍者狩りのメイプルわっふるGのレビュー・感想・評価

忍者狩り(2015年製作の映画)
3.1
殺陣とファッションが素晴らしいスタイリッシュ忍者モノ。

冒頭の刀と鞘との攻防に魅了され、続く怒涛のバトル三昧にアクション欲求が十分に満たされた。今まで見たことのない殺陣でワクワクするのは『五条霊戦記 GOJOE』の回転し続ける忍者バトル以来かも。

刀剣と格闘をミックスさせた実戦向きな人殺しの御業。ガン・カタの名称を借りるなら、カタナ・カタとでも言うような刀拳術。どうやら古武道を取り入れているとのこと。
ナショジオかヒストリチャンネルだったか忘れたけれど、以前古武道番組をやっていてよく見ていた。人体の構造を踏まえての理にかなった動き、ってのを主題にしていて、納得かつ感心したものだった。そんな理論的な動きでもって人体を壊す技術を駆使するならば、魅力的な異色アクションになるのも当然のこと。

古式ゆかしき拳法ぽいものだけでなく、総合格闘技などでいつもヒヤッとする関節蹴りなんかも多用している。ヒザ蹴りに踏みつけ、足払いにサブミッション。一般的な時代劇ではあまり見られない動きの数々は、"ザ・忍者"って感じでとても良い。

忍び装束は全員パンクファッション。鋲やチェーン付ライダース風の上着に鋲付プロテクター。下半身はサルエル&ゴツい鉄板入ブーツ風。主役級は顔全体にスカリフィケーション。タトゥーや金属片も追加。

個性あるメインの5名だけでなく、甲賀や伊賀の下忍集団もカラーギャングのような統一された不穏な衣装。ライダースベストにカーゴパンツ&ブーツ。猫背でドクロ頭巾の甲賀集団はなかなか面白かった。

以下、気になったこと。
全員、忍者刀ではなく太刀使用。なので忍者っぽい逆手持ちはあまり無い~少しだけ辻本さんや島津さんがやってくれた。

また、やたらと武器の音がする~鍔鳴り、鞘走り音、手裏剣こすり合わせなどなど。あとアップで刀身がギラギラ輝いてたり(集団戦では曇った刃)とか、映画として魅せるための演出と承知しつつも、シノビとしてどうなのかとモヤモヤ。
ラストでまたもや島津さんが鍔鳴りフェイントをかましてくれたので、このための布石かー、なんて思ったりもしたけれど。だったら序盤にしてくれたら90分もモヤモヤせずに済んだのにと。

シノビなのにめっちゃ目立つ顔面タトゥーは、序盤で「遣い手だけが許される」という説明があったので納得。どんなに派手でも隠密行動が可能、そんな凄腕のみに認められた装飾ってことで。

最後に下忍集団。
命懸けの殺し合い、格上相手に暗殺仕掛けているのだから、関節極められたくらいで動き止めちゃダメでしょ。そこは関節どころか手足失ってでも無理やり離脱しないと。その体勢のままただ殺されるだけだよね。
どの道、任務遂行出来なかったら「腕の一本、足の一本、目玉の一つ、なくなるぞ」って立場なのだから。
負傷した下忍が捨て身で相手の足にしがみついたのに、それを活かせない他の下忍たちも未熟。もう数人まとわり付けば格上相手に勝てたかもしれないというのに。
いや、映画(創作)の中でのことなのだけれど。


鑑賞 2020.08.09 ひかりTV