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殿、利息でござる!のqpのレビュー・感想・評価

殿、利息でござる!(2016年製作の映画)
3.0
 仙台藩の吉岡宿は町が困窮していました。知恵物の篤平治が町の現状を案じる十三郎に、お金を集めて藩に貸し、利息で儲けようと冗談半ばに提案したところ、話が現実化し、という話です。

 上様に貸そうと考えた金額が大きすぎて夢物語なのですが、百姓の上の人が共感し、だんだん協力者が出てきます。上の人にお金を貸すなんて可能なのか疑問に思いながら、江戸時代の身分やお金を学びながら観ます。

 十三郎への協力者が増えれば、徐々に他にもプレッシャーがかかり、さらに協力者が増えます。話が大きくなっていく様が面白いです。ただし、町を良くしたいという純粋な気持ちから、評判・手柄へと話がずれます。政治や市民運動にありがちです。十三郎の動機もそれが全てではないとしても納得させられます。

 十三郎の不純な部分の動機が分かった後に、浅野屋の本心が分かって良かったです。あと、上の人間も下の人間の思いつきでは動きませんが、積み重ねで人は動きます。映画でミスリーディングをさせるのはよくあることですが、実話がベースですので、実際にどうだったか気になります。

 すぐに終わってしまいそうな話ですが、進んでは足踏みして戻ることをいろいろな理由で繰り返します。それぞれが全体のことを考えながらも自分の都合、保身も考えていて、実話っぽいなという印象を受けました。

 身分の高い者・恵まれた者には自分の下のものが幸せになれるように、義務がつきまといます。下の中でも上のほうにある人が一番上にお金を貸して、下のものに動きます。これは下のものが見えているかということに依存しますね。やはり上の人間は下の人間の状況を把握しないと、的外れな施策をとることになってしまいますね。
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