ばりう

殿、利息でござる!のばりうのレビュー・感想・評価

殿、利息でござる!(2016年製作の映画)
3.7
財政逼迫の仙台藩と吉岡という貧乏宿場町の百姓達に課された無償奉公に関する実話だった。実際に最後に今も酒屋が残ってるシーンが出てきて、そこだけ妙にリアルな田舎にある酒屋さんだった。

特に感動も笑いもなかったけど、銭ゲバ気味なシャイロックキャラの西村さんが寄進のためには注力するという寺社信仰が素直に欲深くて味わえた。

内容は、今で言う国債の市中消化や民間ファンドの長期投資ネタなのだけど、読み書きすら困難で武家でも大商人でもない貧乏百姓の中で比較的余裕のある旦那衆が集まって、生意気にもトップのお上に提言するという…当時の超格差社会においては一歩間違えば無礼極まりないという設定。小学生達が官僚に政策を説くようなムズゲー構図に加え、平サラリーマンが社長に稟議書をあげてくような縦社会構造の面倒がこの噺のキモでもあるようだ。

お上の財政番が闇金キャラの冷酷な態度で敵役になることでお殿様はイイ奴なんですよといういつものあるある展開。お上と民の対立構図をあやふやにする狙いもあるのだろうけど、

一揆でも、革命でも、戦争でもないので、内容的には地味だけど、いつの時代もカネは天下の回りモノのようで経世済民には欠かせない。

ただ結局のところは、殿様を天下としてお上のために滅私奉公するのが美徳とされる価値観に1周して治まっていく日本人な映画なのだが、、