狂った老人が怖いという感覚はこのあと『オールド』に受け継がれていくんですね。むかついた時に女性アーティストの名前を叫ぶタイラーがかわいかったです。心を閉ざしていたシングルマザーを子どもが癒していく(=子どもが大人を癒す)ストーリーは『シックスセンス』と構造が一緒ですね。タイラーが自分のことをT-diamond stylusと名乗っていますが、「stylus」には、
①レコードプレーヤーの針
②ろう板に字を書く尖筆
③タッチペン(手書き文字や絵を直接コンピュータに入力するペン型の道具)
という3つの意味があるそうです。ダイアモンド製のペンという意味でかわいいですね。おそらくtylorという名前なのは、ヒップホップの天才タイラー・ザ・クリエイターから取ったものでしょうね。とにかくタイラー君はかわいいです。姉と弟という家族構成で育ったひとにはたまらない映画でしょうね。
あと、家からついに脱出成功する終盤のシーンでとても皮肉っぽい音楽が流れますが、あの音楽があそこで流れてくるように編集したのはシャマランではなく登場人物のベッカであるはずです。というのもこの映画はファウンド・フッテージというジャンルで、動画の編集者は登場人物になるはずだからです。だとすれば、「話と対照的な派手な曲でママの存在を示すの」というセリフが開始から15分30秒目にありますので、あれは母親が迎えに来てくれたこと、母のありがたみを暗示しているのではないでしょうか。