流行りのPOVホラーである。怖がらせるべきところはきちんと見せ、恐れさせるべきところはきちんと不気味な絵にする。良くも悪くも教科書通りの普通のホラー映画であった。しかし、(脚本に捻りを加えている作品は特に)予算を抑えるために演者を極端に減らし、結果的にオチを完全に読まれてしまうのは如何なものだろう。恐らく大抵の人は1人、ないし2人の訪問者の時点で確信的な答えにたどり着いてしまったはずだ。鑑賞者に謎を探らせるつもりが途中からはただの驚きをもとめられてしまうのは、製作者からすれば屈辱的であろう。良作に予算の多少は関係ないが、さすがにこれでは本末転倒である。シックスセンスの衝撃を超えることは残念ながらなかった。
加えて伏線の回収が今ひとつであり、終わってみれば序盤で渡された大きいであろう謎の答えはラストで割と適当に返ってきてしまった。あれはカットし、謎は謎のままの方がまだマシである。
POVは確かにその緊張感ある絵から、ホラーとの相性は抜群かもしれないが、かといって二番煎じ、十番煎じの作品が溢れてはせっかくの新しい演出の可能性を消してしまいかねない。名もあり資金もあるならば、小銭稼ぎではなく新たなPOVの可能性において手腕名声を発揮して頂きたいと思う。
