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ヴィジットの346のレビュー・感想・評価

ヴィジット(2015年製作の映画)
4.7
ようやく観た。
すごく感動した。あまりに感動してレビュー書くことないなと思って2、3日してからフィルマークスみたら評価点低い!笑

こんなにしっかりとした映画はないと思うのに。

色々と酷評されてるけど、人間の再生と、成長がこれほど上手に描いている映画はなかなかないのに、ちょっと観るとこが違うんじゃないかな。まず、POVという手法で撮影された映画は数あれど、最初からPOVを「映画撮影」として扱うというアイディアは普通に画期的だと思うけどなぁ。 まぁ、ブレアウィッチには近いけど、あれは残されたテープで作られた映画という体だから、あくまで記録でしかないので似て非なる物。

POVでパニック物や、ホラー物が多いのは、主人公の視点と観客の視点を同じにすることで、現場にいるような臨場感を演出することができるからだけど、そこに出てくるカメラは基本、記録としてしか意味を持たないわけで、必死で生きるか死ぬかの瀬戸際でカメラ回してんじゃねぇよ。と、逆にリアルから遠のくこともあって個人的には好きじゃないんだけど。(もちろん作り手も色々とアイディアを駆使してその違和感なくす努力はしてるんだけど…クローバーフィールドはあの立ち位置が好きだから例外)

でもこのヴィジットが他のPOV映画と違うところは、少女がこの映画制作をする意図がなにより重要だということ。正確には意図と言うよりも意志。だからこのPOVは主人公が撮影した視点だけではなく、少女がカメラを回す理由に感情移入していけば、すごく深いものになるのに。

最初と最後を観れば、何よりそこを描いている映画だとわかるはずなのに。
そして、これはきっとシャラマン版の青い鳥。

父親が家族を置いて出て行ってしまうという、冒頭で語られる母の喪失感を埋めるために、姉弟が協力してその喪失感を埋めようと撮影される記録映画。だが本当は、明るく振る舞う姉弟も母と同じように喪失感を抱えていて、それに加えて多感な子供であるがゆえに、父親が出ていった原因は自分にあったのではないかと悩み、それが彼らの大きな心の傷となっている。

だからこの映画は、母の喪失感を埋める映像を撮るという目的とともに、自分たちの存在に意味を見出そうとする願いで出来ている。そんな繊細で健気な姉と弟の物語。
ホラー要素は、トラウマを乗り越え、家族として再生するための通過儀礼として受け取ってもらえれば。だからこそ、あいつらはああなんだし。

そして、最後に
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