ダイナ

ヴィジットのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィジット(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

簡単なあらすじ
シングルマザー、ベッカ(娘)とタイラー(息子)の三人家族構成。ある日母親宛に、祖父母から実家に遊びに来なさいとの連絡がくる。母親は過去に実家から家出した苦い思い出があったが、子供たちが行きたがるため二人だけ帰省させることにする。母の実家に着いた姉弟は祖父母から温かい歓迎を受け楽しい休暇を過ごすはずであったが、日が経つにつれ、生活の中に異変を感じはじめる。

序盤めっっっっっっちゃ怖い、中盤怖い、終盤ほーん、という感想。終盤に向かうに連れ恐怖は薄れていった反面、オラオラやったれ爽快感とほっこり感動があった。ラストの母親の心情吐露、姉弟が幼い頃の回想は良いが少し唐突さも感じる。なんやかんや最後のラップでニッコリとできる後味良さが気に入ってる。

【個人的恐怖ランキング】
3位:BD/DVDのメニュー画面
映画と関係無い所で申し訳ないですがこのメニュー画面がすげー不気味。本作はTSUTAYAレンタルにて鑑賞したのですが、BDセット後のメニュー画面が不安なBGMが流れて、画面片隅にはこちらに背を向けて安楽椅子に座る人間がポツンと座っている。この絵面は映画内でも出てくるんですが、鑑賞後はなぜかそっちよりメニュー画面の方がビビってたくらいもうすげぇ不気味!BGMが不安を掻き立ててくる。観る前から「観たくねぇなぁ...」っていうバンジージャンプ飛ぶ前のような感覚、「自分から来たくせに何言ってんだ!」って怒られそう。

2位:オーブンレンジの掃除
映画内で確か2回?ほど祖母からオーブンの掃除を頼まれるベッカ。一言だけで様々な予想が頭に浮かんでしまう。「もっと奥まで、奥まで」とかもう逆に笑っちゃうくらい嫌なお願いを投げてくる。2回目辺りでは予想の一つである閉じ込めを食らうわけで、やめてやめてと思わずにはいられない。ドッキリ系というよりはジワジワ系にあたる。

1位:床下かくれんぼ
これは本気で怖い。マジで怖い。姉弟がビデオカメラ持って床下空間に入った途端に、自分の頭の中がアラート鳴り始めたんじゃないかってくらい危険を感じた。この床下というのがハイハイしなきゃ進めないくらいの高さで等間隔縦横に柱が並んでいて視界が限定されている。(64のレア社ゲームの対人戦とかでこんなステージありますよね)姉弟が声をかけながらお互いを探しているその時間がもうこっちは不安でしょうがない。なんでこんな不安というか危険を俺が感じてんだと考えてみた。やはり「自由に動き回れない=危険が迫っても上手く逃げることができない=死のリスク」という謎方程式が頭に描かれているからだろうか。自分は閉塞的状況が苦手なのかもしれない。高さという制限がハイハイ移動を強要するこの空間はいわば敵と戦う・逃げる上で最悪だと思う。かくれんぼ際中に急に出てくる祖母。顔を下げているためこの時点では祖母というよりは幽閉されている女?とか深読みもした。無事にそこから脱出する姉弟。続いて出てきたのは祖母であり、笑いながら「パイ作るわ」と、去っていく後ろ姿にはスカートが裂けてしわしわの尻が覗かせている。緩和した空気の中、尻を見つめる自分。恐怖と安堵を感じながら尻を見せられるとは思わなかった。



本作のストーリーについて触れるとする。正直な話映画のどんでん返しというか、一番の肝である「実は祖父母は偽物だった」という要素は頭に浮かんでしまっていた。母と祖父母のコンタクトが初日から無い時点で薄々と感じていて、PCのカメラレンズをクリームで潰された辺りはその思考が濃いものとなった。

帰省する上で、ベッカには企みがあった。一つにベッカとタイラーが実家に向かうことで母の休暇期間を作ること=現恋人との旅行を楽しんでもらうこと。もう一つに映画製作という名目で祖父母から母へのわだかまりを解消する気持ちを引き出し映像に残すこと。こんな事考えるベッカは最高の娘っすホント。この企みがドキュメンタリー形式の映し方というホラー要素に繋がり、この映画の良いアイデアだと思った。

ラストバトルにおけるベッカvs祖母(偽)、タイラーvs祖父(偽)について、糞を塗りたくられたタイラーが過去の苦い思い出を消し去るがごとく、おそらく人生史上最悪の敵であろう偽物爺にタックルを決めるシーンは最高のカタルシスを感じさせる。冷蔵庫のドア開閉という地味だが現実的にダメージのある攻撃は「死ぬんじゃねーの」ってラインを微妙に超えない感じで良い。

気になったところとしては、実家における3大ルール。①楽しい時間を過ごすこと。②好きなものは遠慮なく食べること。③夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと。これらがあまり印象に残らなかった。③に関しては日没症候群ということだろうが、①②に関してはそこまで重要な要素として映されていなかったように見える。祖父(偽)の妄想ストーリーに関わっている所だろうか?「お手伝いは断らないこと」だとか「小屋・地下には危ないから入らないこと」だとか「遊びはみんなでやる」だとか、正体バレのリスクを減らす、子供たちを亡き者にしやすくするルールを作ればよかった気もする。
ダイナ

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