『ホールド・ザ・ダーク そこにある闇』に引き続き、アラスカの過酷な大自然が舞台の映画・・・狙ったわけじゃないんですが。
7年ぶりに過疎の町に帰って来たローワン・ムーア(ジェームス・マースデン)。美人局の被害に遭い、今では保安官になった弟のベケット(トーマス・ジェーン)に見つかってしまう。兄が密猟者のガイドをするジョニー・キャディラックをGrizzly Maze(ヒグマの迷路)から救い出そうとしていることを知ったベケットは、ローワンに敵対する態度を取る。
オープニング、ローワンとベケットが小さい時に熊でも迷うと言われる広大な森林地帯を彷徨っているシーンで始まるのですが、鬱蒼と茂る木々の葉や藻が、なんというか、蛍光グリーンで、すっごい人工的!これってGCってことですか?今どきここまでデジデジした映像もなく、この時点でダメ出ししても良かったのですが、『大統領の執事の涙』でジョン・F・ケネディを演じたジェームス・マースデンがむちゃカッコいかったので、我慢して観ました。
基本はこの映画、巨大なヒグマに人間たちが次々に殺されていくアクション・ホラー?ってことでいいと思うんですけど、その背景になっているのが要するに、アラスカのムースやクマなど保護指定になっている動物を残酷に殺す密猟者や、禁止されている木々の伐採を行う人間たちにクマが怒った!って話なんですよね。
しかしアラスカの過疎地に住む人たちは産業もなく貧しいので、こうした密猟者たちの「ガイド」として生計を立てるしかないという背景があり・・・・
ビリー・ボブ・ソーントンが出てるんですけど、この人は、昔ムーア兄弟のお父さんと仲良しで、森を守るために頑張ってたダグラスというハンターだったんだけど、クマに襲われてひどい目に遭ってからはクマを敵視するようになり、密猟者のガイドなどもやり始め、ムーア兄弟に嫌われている。
こういう田舎のおっさんやらせるとビリーボブ上手いのですが、この人アーカンソー出身だっけ?南部訛りが面白い人なのに、アラスカの田舎の人、おんなじ喋り方だけど、これいいのかな(笑)
ベケットの奥さんミシェルが動物保護家のカメラマンなので、クマが人間を襲い始めても「殺さないで捕獲する」って言ってるんだけど、ダグラスみたいな本当にクマの怖さを知っているハンターたちは、そんなお花畑なことを言っていたらどんどん殺される、こういうクマは仕留めないと、ってスタンスなのでぶつかり合うのですが、ここが面白い。
ミシェルは、クマ捕獲のための罠を仕掛けているときに、この巨大ヒグマが現れて、慌ててしまい自分が罠にかかる(笑)。「だよね~」って思いました。だって、罠を仕掛けたら、クマを探しに来る人達とかも危険じゃない。動物保護家とかの矛盾だよな~この辺、って思う。
このミシェルがろうあ者って設定になっているんだけど、それが全くプロットに生かされてない。ローワンが7年間何してたかとか、なんで弟と仲悪いのかとか、逃げる過程で明かされていくんだけど、この話が面白くないので全然感情移入できない。
巨大ヒグマは、レッドマシーンと呼ばれていて、バートという実在のヒグマが演じていると出演者リストに載っているのですが、本物のクマを使っても全く緊張感がない。もちろんCGも多用しているんだけど、これも上手くないし・・・
なんでこの映画作ろうと思ったんだろう?単純にクマに襲われるディザスター映画というか、『アナコンダ』みたいのを目指していたのか?それとも、「アラスカの大自然を荒らす人間たちに、自然が復讐する」的な映画にしたかったのかな。
いずれにしろイマイチでした。結構いいキャストなのにもったいない。「ハリウッドの俳優さんたちって本当にいろんな仕事しているよな~」ってまた思ってしまいました。