ふわふわ刑事

蜜のあわれのふわふわ刑事のネタバレレビュー・内容・結末

蜜のあわれ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

芥川龍之介の配役が高良健吾さんなのが、解釈一致
「(他の金魚のオスと)交尾して参る!」
「交尾はいかん!😰」
「参る参る!交尾して参る!」
「交尾はいかん!😭」
のやりとりが面白すぎて大爆笑(大爆笑すべき場面ではない)

金魚は、死してなお作家を想う幽霊のゆり子と出会い、三角関係物語になるかと思いきや、作家はまさかの生きている若い女性と現在進行形で恋仲なのでした。生きている人間二人の逢瀬、それを遠目に悲しむ人間でないもの二人の友情、という構図。しかし作家も病んでいてもう長くない。生と死のにおいがぷんぷんの恋模様ですが、、そもそも金魚もゆり子も存在する人物なのか非存在の幻なのかも分からない曖昧な女たち。存在しない人間に生死はあるのか果たして。 「蜜のあわれ」を映像化した映画ではなく「蜜のあわれ」を書いた室生犀星を主人公にした創作映画という印象を受けますがどうなのでしょうか、、室生犀星の原作を読みたいです。(とどのつまり死期の近い老作家が金魚に抱いた妄想…?それだけではあまりに救いがないのですが…。)

二階堂ふみの演技がチャーミング。個人的に、映画の配役において声色というのは容姿に次いで重要な要素だと思う 叫んだり大声をあげると少しハスキーになる二階堂さんの声は、おてんば娘な金魚の役にピッタリで声量もデカくて素敵。古風な(前時代的な)言い回しをどれだけ言っても違和感なくハマっちゃうのもスゴイ

よく見ると金魚の着ている赤いドレス、毎回デザインが変わる。序盤から比較すると、少女らしい丸襟のワンピースから妊娠したころには肩の大きく出た大人っぽいドレス

作家の正妻は金魚なのではないかと思うほど二人の関係は甘いのに、実際の正妻が本当に少し、しかも序盤と終盤の一度ずつ声だけでしか登場しないのがニクい。オトコの心が正妻より愛人たちに向いているというのはよくあるお話ですが。金魚が作家に「おじさま、さよなら!」と告げる直前に、別の部屋から彼を呼ぶ正妻の声がしてくる。〜〜〜!!

オチはダメ 共感性羞恥