がちゃん

ベトナムの風に吹かれてのがちゃんのレビュー・感想・評価

ベトナムの風に吹かれて(2015年製作の映画)
3.9
結果的に大森一樹監督の遺作となってしまった、
『ベトナムの風に吹かれて』。

認知症が進んできた母親をベトナムに住み日本語学校の教師をしている娘が引き取る物語。
母は心優しい周りの人々や、
同じように認知症が進んでいるベトナムのかつての大女優との出会いなどを通じて次第に笑顔が多くなっていく。

娘と言っても年齢は60over.
母親がケガをしたことがきっかけとなり、
老々介護の厳しさに直面したりする。

学生運動時代に友人だった映像作家(奥田瑛二)と出会ったりするのだが、この映像作家がライフワークとしていたのがある18歳の少年のサクセスストーリー。
その18歳だった少年を吉川晃司が演じているのだ。
そう、『すかんぴんウォーク』(1984)3部作で主演を務めていた彼です。

友情出演扱いになっていますが、
本作が大森監督の遺作になってしまったことを考えるとなんだか感慨深い。

『ヒポクラテスたち』に出演していた柄本明や斉藤洋介も出演している。
あの時医大生だった柄本明はもう老齢だ。
斉藤さんにいたってはすでに他界している。

娘・みさおを演じるのが松坂慶子。
いつまでたってもお美しい。
堂々としたクローズアップは気品があり貫禄だ。

認知症の母親役に草村礼子。
この人もいつまでも素敵な雰囲気をまとっている女優さんだ。
観光自転車ではしゃぎまわる姿は少女のよう。
その美しさは、
『Shall we dance』の頃からちっとも変っていない。

出てくる人物がみんな優しくて、
悪人が一人も登場しない本作。
晩年の監督の心情を写していたのだろうか。

享年70。
若すぎますね・・・
がちゃん

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