むっしゅたいやき

モントレー・ホテルのむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

モントレー・ホテル(1972年製作の映画)
3.3
フレームインフレームに由る習作。
ニューヨーク、マンハッタンのホテルを撮影した、抽象絵画的な作品である。
シャンタル・アンネ・アケルマン。

ホテルエレーベーターの中からのカットでは、ライティングに拠らない影絵的手法、続く数カットでは前作と同様に、静物画の中の一点の動を捉えている。
ただ、本作は矢張りフレームその物に焦点を当てた作品となろう。
廊下や窓枠を利用した一般的なものから、街を俯瞰しビルや道路の人工的な直線をフレームとして捉え、画面を画した応用的な手法まで、幅広く試みられている。

どちらかと言えば美術的アプローチで撮影された実験的作品であって、マチエールを愉しむのには良いが、主題が曖昧且つ散漫で、長回しも冗長と云った欠点も見られる。
同じアプローチで撮影された作品に、ボカノウスキーの『天使』が有るが、テーマが絞られている分「天使」の方が素直に観られよう。
アケルマン最初期の作品である為、割り引いて見るべきであろうが─、スコアはこの評点とする。
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