はぐれ

故郷の便り/家からの手紙のはぐれのレビュー・感想・評価

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)
3.3
70年代のニューヨークのスケッチと遠い故郷から届く母親からの煩わしい手紙のナレーション。このたったひとつだけのアイデアで90分見せれるアケルマンの才覚。

まだスマホはおろかウォークマンもなかった頃の地下鉄の車内の様子がめちゃくちゃ新鮮。乗客ってただただボーッと亜空間を眺めながら乗車していたのね。そしてこちらのカメラに気付き時折チラチラと向けられる視線にもドキドキする。

「早く帰って来い」「なぜ手紙を返さない?」と執拗に催促してくる母親の手紙の鬱陶しさ。そのナレーションが後半に差し掛かってくるとニューヨークの街のノイズにかき消される。アケルマンが後ろを振り返る時間も忘れ夢であった映画への道へまっしぐらになる様子がこの演出だけで表現出来てしまっているから凄い。

ボートから見えるラストのツインタワー🥺
はぐれ

はぐれ