Yoh

シン・エヴァンゲリオン劇場版のYohのレビュー・感想・評価

4.0
2021年3月8日公開(・・・長かったね!)のSFアニメ映画。TVアニメ版公開から25年、待ちに待った最後のエヴァンゲリオン。

・・・と書くのもなんですが。実はエヴァンゲリオンを直接見たことはあまりなく、TV版と旧劇場版は脚本を読んだのみ、新劇場版も「序」はTV放送、「破」は友達に連れられ、「Q」は気になって何となく映画館へという自分です。今回の「シン」も代休でたまたま予定が空いたので映画館に行ったという次第。なので話半分に聞いてもらえたら。

そんな自分の初見の感想はすっきりした、でした。そして「やさしい」作品じゃないか、とも。本作は色々な意味で「やさしい」作品だと思います。それはわかりやすいという意味でもあるし、人(登場人物や世界だけに留まらず観客達)に対しても、そして表現方法(映像や台詞)も優しく作られているということです。まさかエヴァで、ここまで心和やかになれるとは思いもしませんでした。この穏やかな気持をすっきりした、と感じたのでしょう。

本作が凄いと思うのは、今までのエヴァとは一線を画しながらも、それでもまだ(かつての)エヴァらしさを残しつつ、かつその方向性を集約できているということ。自分でも言ってて何これと思いますが、かつてのエヴァというと、圧倒的な情報量の映像にポカーンとなってそこから(単語を検索したり考察本読んだりキャラ雑貨買ったりすることで)一つ一つを分解していって自分の感想(というか自分のエヴァですね)を構築する、そういった側面が強い作品だったと思います(あまりハマらなかった傍からの感想ですが)。本作もそういった点はあります、難解なフレーズや情報量が多い映像、過去作品との関係性etc。でもそういうのを一つ一つ(自分なりの解釈ですが)解きほぐしていくと本作は一つの方向に集約していき、それが初見の感想と一致していくんですよ。それは明らかにポジティブな志向で、言うなればありがとうといった台詞や感謝や愛といった・・・

とこれ以上はネタバレになりそうなので止めておきます(汗 ともかく、色々な方向(どちらかというとネガティブな方向ですが)に飛びがちだった旧作品の感想なり想いを、一気にポジティブな方向性に導いていった本作は単純に凄いと思うし、よく練られた作品だと思うのです。


思えば「序」が公開されてから既に15年、TV作品の放映開始からは25年です。こんなに長く話題になった作品は滅多にありません(ガンダムぐらいか)。それは一つの現象に成ったのと同時に、一つの呪縛でもなかったでしょうか。それを開放し、昇華させるような本作。エヴァにあまり縁のなかった自分なのでこの点数ですが、エヴァが好きだった人であればあるほど、点数は上がるのではないでしょうか。欠点を挙げるとすれば、劇内の描写が幾つか懐古主義的すぎないか・・・という点。まぁ、でもこれは目を瞑っても全然問題ないかな。エヴァを観たことがある全ての人に、是非。
Yoh

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