mitz

シン・エヴァンゲリオン劇場版のmitzのレビュー・感想・評価

4.9
庵野秀明の落とし前。
前作「Q」直後のストーリー。これまでの混沌を浄化するような牧歌的な物語の始まり。心象風景のような世界観。14歳で止まってしまった彼らと大人になった同級生たちとの再会。乖離してしまった身体の成長と心の成長。そして中盤からSFギミックが凝縮された「これぞエヴァンゲリオン!」と叫びたくなるような没入感のある幾何学的な造形美の連続。エヴァンゲリオンはもちろん、飛行するAAAヴンダーがとにかく眩いです。
終盤では走馬灯のような路面電車の中で自らを語り出す登場人物たち。特に碇ゲンドウが一人称で語ることの意味合いは全ての氷解を意味する重要な場面です。個人的には「好きだったのかも知れない」という台詞にグッときました。
一部の場面で背景が「撮影スタジオ」になったこと。また終盤の絵コンテだけのシーンなどメタな演出により、長い年月による遠心力で映画の枠では収まらなくなった世界観を再び「映像作品」として帰結させたのだと解釈しました。

三度目の終劇。どこかでエヴァンゲリオンとは「未完成の美学」なのだと思っていましたが、複雑に絡み合った物語をひとつに束ね(「伏線を回収した/していない」という次元を越えて)それぞれに完璧な「解」が出された唯一無二の作品。まさに「サービスサービスぅ♥」です。

"everybody finds love in the end"
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