InsideoutdowneR

シン・エヴァンゲリオン劇場版のInsideoutdowneRのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

端的に言って酷い映画だったと思う。『Q』でどん底まで失望させられた身としては、十分予測はしてたけれど、それでももしかしたら最後の作品くらいは、と持っていた僅かな期待も木っ端微塵でした。CGを多用した戦闘シーンは目を見張る場面もあったが、全体の構成も学校の道徳の時間かと思うほどぬるいモノだったし(特に前半)、最後に一人ずつ順番に解放されていくシーンには見せ方の安易さに辟易し、キャラクターが身に纏う衣服のデザインもダサ過ぎた。初号機同士のバトルシーンのエヴァのCGは初代PlayStationですか?と疑うレベルで、戦いながら場所が過去のシーンに代わる代わる変わっていく場面では酷過ぎて唖然としてしまった。
物語自体もこれだけの年月掛けて広げてきた風呂敷が、結局親殺しの物語に収束していく様は見てられなかったし、碇ゲンドウの最後の姿もオモチャみたいで安っぽく何の説得力もなかった。
最終局面で旧映画シリーズとリンクさせていた部分は多少良かったけど、驚きは当時のモノとは比べ物にならない。新旧全て映画館でリアルタイムで観てきたけど、結局全ては旧シリーズで事足りていた。権利の問題等もあって新シリーズの存在価値が無かったとは言わないが、常にガッカリさせられ続けたまま終わってしまった。
そんな駄目駄目尽くしの本作でしたが、ただ唯一良かったのは、物語を少年少女の話で終わらせなかったこと。最後に大人になった彼らが実写の中に未来に駆けて行くあの場面が本当に唯一の救いだと思う。
これは勝手な想像だけど、あの場面は庵野がかつて少年少女だった、まだこの物語から抜け出せないまま大人になったエヴァファンに向けた解放の合図のように感じられた。
もうこの現実の世界で自分の物語を歩んでいいんだと。
あのシーンを見れただけで、今日映画館に行ってよかったと思えた。
長い間楽しませてくれて、ありがとう。
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