shiho

シン・エヴァンゲリオン劇場版のshihoのネタバレレビュー・内容・結末

2.8

このレビューはネタバレを含みます

【魂の抜けた空っぽの終劇】

いろんな人の感想や解説読んで回ると感想が変わっちゃいそうだから、観終わった時の素直な気持ちを書きます。

観に行く前に、序、破と見直してQは1/4くらいで「もういいや」ってなった。何故かと言うと、あんな大きな船で闘ったり何型か分からないエヴァばかり出てきたり使徒なんだかエヴァなんだか解説されないとよく分からないものをよく分からない倒し方をするアニメなんて、もうエヴァじゃないって思ったからだ。

でも今回シンを観て、あぁ違ったなって。
私はあの都市で使徒を迎撃するNERVのエヴァ達がただひたすら好きだったし、取り巻く人間関係も好きだったけど、アニメシリーズでも旧劇でもそうであったように、やり直したとしても壊れることが決まっていた世界だったんだなって分かった。

絵柄も序・破までは好きだったけどQから皆の顔がシャープになり始めて、可愛さと丸みが失われていった。ミサトやリツコも険しい軍人の顔になってしまった。シンなんて露骨にアスカとマリの顔の作画はしょっちゅう壊れそうになっていた。(そういうタッチなんだろうけどね笑)

庵野監督のプロフェッショナルを観てから映画を観たけど、あんな風に自分でアイディア出さないでスタッフを振り回して困らせて、絵コンテ作らないで…とやった結果がコレなら全然良くないと思う。なんかスタッフ達の困惑と迷走を画面から感じた。アスカがシンジを罵倒しながら食べ物を口に突っ込むシーンは明らかにコンピューターで動かしてカメラを寄せていますよ〜って感じがしたし単純になんもいいアングルじゃない。やや酔った。予告で出ていた終盤のエヴァの槍チャンバラのシーンもビル群のハリボテ感やエヴァの動きの無機質さが目立って全然ダメだった。それそのまま出して大丈夫だったやつ?肉付け前じゃないの?これから3行程くらいまだやる事なかった?時間なかったの?笑 正直アングルや動き凝りすぎるより分かりやすさにも重点置いてほしいわよ。
過去作のシーンとかちょいちょい挟んでくるのも鬱陶しいだけで変だったし、思い出の場所で小さくなったエヴァがぶつかり合うシーンの繰り返しは本当にうんざりした。

村が出てくるところとかのなんか良さげな音楽も耳障りだったし、人のあたたかみ!みたいな展開も説教くさいししつこかった。何を見せられてるんだと思った。

Qが6訳が分からないよだとしたらシンは13訳が分からないよだった。なんか解説読んでそーなんだ…ってなったけど。
ゲンドウの心の深層みたいのは赤裸々過ぎて「本当にゲンドウさんですか??」って感じだった。いやこれ庵野監督でしょう笑?
「人の言うことはその時によって変わるから当てにならない、その人にとってはその時思ったことを言っているのであって本当なんだろう」みたいの、絶対ゲンドウじゃないでしょww
シンジくんが受けている責め苦の95%くらいはゲンドウのせいだからね。シンジくん、かわいそうだよ。勝手に色々計画してたのあのおじさん達だからね。そこんとこ皆忘れないでほしい。
なんでアスカはあんなにシンジくんにキツいんだろうな。十何歳年上になったなら尚更優しくしてあげればいいのに…笑 ある意味では愛情たっぷりの接し方でもあるんだけど…。
あと破の時のあれはさ!仕方ないよ…!
ゲンドウの指示も悪いしまだ14歳の少年に突然そんな決断出来ないよ。当たり前だよ。


宙に浮いていたキャラクター達をどこかに着地させて送り出した感はあるけど、なんか監督、もうレイやアスカみたいな子供には興味なくなってマリちゃん一直線って感じが出すぎだと思った。レイ/アスカの扱いが雑というか…。(そっくりレイの処理もなんだかな、だし、アスカが目から棒出した時なんか悟った)
ていうか最後のカップリング見るにもあれ、奥さんの影響じゃないのって笑
ミサトさんもママにするしなんか今母性浴びて幸せなんですね良かったね〜!ってなった。
でも作品に全部落とし込まないでほしかったかなww

今回の巨大レイもCGくさくてすご〜く変だった。
旧劇、二号機のリンチが耐えられないしシンジとアスカが可哀想過ぎてもう二度と観る気はないんだけど、大人たちの結末とかミサトさんとシンジの最後の会話とからへんはあっちの方が良かったかもしれない。あの不完全な優しいミサトさんが好きだった。巨大レイもあっちの方が良かった。
カヲルくんもアニメの方が良かった。アニメのアスカは痛々しくてつらかったけど、あっちの方が人間ではあった。
アニメ/旧劇は性や心が剥き出しな感じで嫌悪感と胃もたれがしたけど、シンの終わり方はフワフワ浮いて違う世界に飛ばされてしまった感。

新劇はやり直しの物語だったわけだけど、序はほぼ同じ、破で少しずつ変わって、その後のQ以降の大筋のシナリオって決めてなかったんだろうか。どうせニアサード起こすと世界は変わってしまうのでいつまでも第三都市で使徒迎撃してられる世界ではないんだけど、なんか戦艦やらよく分からないマシーン達見てるともう作り手がエヴァに飽きちゃってたように見えた…。元々はどうしたかったんだろうな?って思う。

庵野監督は、長作じゃなくて映画一本分くらいで怪物倒してるくらいが丁度いいのかもね。

なんにせよ鉄は熱いうちに打て、ってことで、素晴らしいものを作ったが故にかプロジェクトが大きくなりすぎてか監督に要らない負荷がかかりすぎたせいか、終わるまでこんなに時間がかかってしまったのは良くなかった。
作り手がブイブイノリノリで作ったものじゃないと面白くないんだよ、きっと。
こんなんなら新劇作らないでほしかった、と言う気はさらさらないけど、私の中のエヴァは破で終わっていたのかもしれない。

破の最後のシーンで号泣した私にとって、最後の海岸で作画が白黒になったり駅から現実世界に変わる映像は最悪だった。
庵野のやつ、ま〜た旧劇と同じやり方で付いてきたファンを突き放すんだなと思った。ガッカリした。別に皆がネットで君の殺人計画立ててるんじゃないよ笑、作品をキャラを愛して楽しんでる人の方が圧倒的に多いんだよ。

そんなものが観たいんじゃない、虚構の世界で満たされたかったのに。

そんな置いてけぼりにされたファン達の心を拾い上げて導く宇多田ヒカルのエンディングに幾分か救われた。
庵野監督のミューズはマリになってしまったようだけど、皆それぞれ自分の忘れられないキャラクターを心の中に大切に留めておけばいいんだよね…。

さようならエヴァ………。

好きになれない終わり方だったし出来は全然良くなかったけど、キャラクター達がエヴァの呪縛から解放されたのならそれだけは良かった。もう泣かなくていいんだね、シンジくん。




(でもやっぱりアスカ・レイ・カヲルをもっともっと丁寧に送り出したかったのよ)

(最後のイケイケシンジくんの声って神木くんだったのかな?笑 びっくりした笑 相変わらずおいしいとこ持ってくね!)

(ユイさん出てきたとこちょっとうるっとしたけど、ゲンドウが微笑んで逝くのは許せんいやお前のせいで地球メチャメチャやん厨二病オヤジが…って思った)

(ゼーレの人たち、今どうしてるの?笑)
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