FireFox917

シン・エヴァンゲリオン劇場版のFireFox917のレビュー・感想・評価

5.0
1995年からの四半世紀、多くのファンを魅了して来たジャパニーズアニメの金字塔がここに終焉を迎えた。劇場公開直後にIMAXで鑑賞してきたが、エヴァ・ロスでレビュー出来ずにいた。

前作Qの孤独で憂鬱感に満ちた世界とは異なり、本作ではシンジやレイ、アスカ達の他者との交流、自然と共に生きる明るいシーンも描かれている。これはストーリーが大きく前進していることを意味していると感じた。
今回、初めて聞くエヴァ用語も容赦無く飛び交うが、エヴァの世界を楽しむためのスパイスのような物。少し考察したい気持ちを抑えつつ、感じ取りならエヴァの難解な雰囲気を楽しむ。

また、虚構と現実、父と子の対話が描かれ謎が解かれ新しい謎が生まれた。
ゲンドウの語る人類補完計画の内訳話はある程度は予想されていたが、誰にでも他者に対し経験している出来事であり共感ができる。人間以外の生物をも含めた他との関係は自分が抱く世界の在り方を変えてしまうのだ。

演出としては大震災の津波を思わせる表現もあり、様々な思いが込められている。また、庵野総監督が敬愛して止まないSF映画、ウルトラシリーズ、銀河鉄道999、宇宙戦艦ヤマト等のオマージュも散りばめられており、SFやアニメ好きとしては本当に感慨深い。

そして、エヴァの楽しみ方の一つに音楽があるが、本作ではマリの唄う真実一路、VOYAGER〜日付のない墓標、惑星大戦争のテーマ等の楽曲が映画を盛り上げる。
特にラストに流れる宇多田ヒカルのワン・ラスト・キスの旋律が美しく儚く心に響いて感情を揺さぶらされた。
本当に鷺巣詩郎と宇多田ヒカル、この2人の音楽の天才無しでは特に劇場版のエヴァの世界は完成しなかったであろう。

さて、ラストシーンはエヴァ特有の謎解きで、観る者の解釈に大きく委ねられるが、これは精神的なエヴァの呪縛から我々を解き放ち、エヴァが存在しない実存の世界へと目を向けることを意味していると捉えた。

エヴァにはハマる要素は人それぞれ、ある意味多くのオタク達が楽しめるテーマパークである。
私は第一始祖民族、哲学・宗教、巨大人造人間、兵器、楽曲、エヴァ・フォント。そして、アスカとマリにハマった。
「さよならはまた会うためのおまじない」劇中のこのセリフの通り、今後もエヴァはファンがそれぞれの楽しみ方で多くの記憶の中で反芻され、語り継がれ生き続けると思う。

庵野総監督を筆頭にエヴァを作った全ての人々にありがとうを伝えたい。

鑑賞後にエヴァ・ロスを抱えながら、エヴァンゲリオン「外食5チェーン共同作戦」キャンペーン巡りをした私でした。
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