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シン・エヴァンゲリオン劇場版のpikaのレビュー・感想・評価

4.0
終わったんだ本当に、という感情と、多すぎる情報量に理解が追いつかず、見終わってしばらくボーッとなった。
エヴァという一大サーガ(?)の総括やキャラクターの終着をメインにした印象。意図せず広げすぎた大風呂敷を畳む決意みたいなものを感じた。
新劇場版はちゃんと最初から軸があったんだなと安心できたエンディングだった。旧劇やテレビシリーズのエンディングと呼応したような描写があり、最初から完成されていたんだけど、ひねくれず、よりわかりやすく伝えることができるようになったという感じがした。

作品としては序破Qの勢いから減速してしまった印象があるんだけど、物語を終わらせる必然性ゆえの達観というか、常に謎めいたまま続いてきた回転が止まる、エヴァが終わるとはこういうことなのかと、当たり前に存在していた刺激が薄れていく衝撃があった。マジで「こんなときどんな顔をしたらいいのかわからない」感覚に襲われた。

メタフィクションはもう少し踏み込んでいても良かった、というか個人的に見たかったなぁ。
裏宇宙世界の描写が良かった。何が起きているのやらという混沌が良い映像体験になってた。
第3村の描写が良かった。アニメで丁寧にあーいうのやられると弱いかも。シンジが立ち直る結果も過程も凄く良くて、こここそがこの新劇場版のハイライトと思うほどだった。序、破で綾波に歩み寄ったシンジに対して、他者から学び自分で判断した綾波がシンジの背中を押す展開もいい。
シンジの不遇な背景と、このドラマのそもそもの始まりであるエヴァに乗る理不尽な展開への伏線回収がゲンドウの独白と結末で描かれたこと、この新劇場版で初めてはっきりと提示されてスッキリした感がある。
表現によって誤解されたり、まるで別物になってしまうことを学んだシリーズだったなぁ。
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