YokoyamaKaito

シン・エヴァンゲリオン劇場版のYokoyamaKaitoのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 庵野秀明氏の集大成。宮崎駿氏を刺激するほどの力を持っている作品。繰り返し視聴することで理解度が高まるだけではなく、作品の深みに近づくことができる。この作品に対応するのが「君たちはどう生きるか」になっており、こちらはシン・宮崎駿による1作目と言っても良いだろう(※個人的見解)。

 この映画は旧劇から新劇まで含めた全エヴァンゲリオン(ヱヴァンゲリヲン)の解答になっている。この世界に対して庵野秀明氏がどのような世界観を持っているのかが描かれていると言っても過言ではない。同じ見方で「君たちはどう生きるか」をみるとおもしろい。こちらはスタジオジブリの世界観である。

 ー中略ー

 総括として一言述べると、本作品は一言では語り尽くすことのできない、様々なわからなさや矛盾を孕んだ複雑だが深みのある作品であると言うことだ。しかしそのような入り組んだ様相をジンテーゼの一つとしてこのような解を導くことができたのは、スタジオカラーの忍耐力と庵野秀明氏の天才的構築力によるものである。
 本作では大きな二項対立として碇ゲンドウのNERVと葛城ミサトのWILLEがある。「神に屈した補完計画の絶望のリセット」でもなく、「希望のコンティニュー」や「人類の知恵と意思を信じ」るわけでもない。最終的にシンジはこの2者の枠組みから飛び出し、1次元上のネオンジェネシスと言う解を導いた。自分にとって大切な人々や自分自身の居場所自体を、自分自身の力で作り出したのだ。「神に屈した補完計画の絶望のリセット」でもなく、「希望のコンティニュー」や「人類の知恵と意思を信じ」るわけでもない。これは全てのエヴァンゲリオンの結末として最も納得のできる答えの一つではないだろうか。

 以上のように本作はエヴァンゲリオンシリーズの集大成であるとともに、庵野秀明氏の監督作品の集大成である。その全容は集大成に相応しい、高次元の解を導くことで見事なストーリーの回収がなされている。本作は高級なSF作品であるとともに高度な論理を内包する至高のアート作品の一つであると言えよう。
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