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シン・エヴァンゲリオン劇場版のcamusonのレビュー・感想・評価

4.5
まずは冒頭。すでに公開済みのこれまでの劇場版のまとめ+パリ回復攻防戦。見慣れていて、もはや新鮮味はないはずなのですが、やはり劇場の大画面で見ると迫力が違います。今まで聞こえてこなかった音も聞こえてきます。youtubeで見慣れている映像をいざ劇場の大画面で見るというのも
いいものだなと思いました。

そこから先は、まったく想像していなかった話の進め方で、今までのエヴァではあまり扱ってこなかったジャンルに突入。意外性はあるし、ノスタルジーを感じさせるし、ジブリ映画でも見てるのかと錯覚してしまう瞬間もあって、面白い感触だったけれども、話の本筋からは少し外れたサイドストーリー。それが前半。
(起承転結の転に当たり、Qの段階でやっておくべき内容じゃないかと思いました。まあでもQの???な内容とは正反対だし、仕方ないか)

後半では、これまでの作品内でなされなかった主要人物によるいくつかの決着、やり直しが描かれることになりますが、本筋の流れだけ見ると、ったよりはシンプルで意外性はない印象。

個々のシーンごとには、十分に楽しめたのですが、いろいろと欲張って情報を詰め込んでいる分、とても全部を理解しきれないし、消化しきれない。

これまでの謎がすべてがつながって、相乗効果で怒涛のように押し寄せる感動、最終回にはそういうものを期待してしまいがちですが、少なくとも初見ではそういったものは得ることができませんでした。

「Q」から導入されたネルフvsヴィレの構図ですが、世代の分断をあまりにわかりやすく対決の構造にしてしまったのは、どうも作品の複雑な深みが削がれているところがあって、得策ではなかったような気がします(いろいろなせめぎ合いトレードオフがある中での選択なのは理解します)。ゲンドウと冬月の2人だけで、人手なしにこれだけのことができてしまうとなると、旧ネルフの存在意義っていったい何だったんだろうかと思ってしまいました。

あと、冬月がゲンドウに付き合うモチベーションというか冬月の正義は何だったのかなという疑問が残りました。ありがちな一人のマッドサイエンティスト(ゲンドウ)の物語ではない最後の砦が冬月の存在と、碇ユイの存在だと思うのですが、そこの関係があまりはっきりしないまま終わってしまった感があります。

碇ユイがマッドサイエンティストとしてぶっ飛びすぎてて、残されたゲンドウやシンジが割を食った感じすらあるのだよなあ。先見の明により人類(リリン)を救った張本人が碇ユイなのだろうけど。
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