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アンナの出会いのotomisanのレビュー・感想・評価

アンナの出会い(1978年製作の映画)
4.2
 わたしと誰かの間で宙ぶらりんな女アンナ。女と称してもそれに限ったものか、女プラス何かな者なのか、反女的?非女的、超女的、女装性無性的何かなのか、また相手を「誰か」といっても、靄の中の見えない相手を手探りしてこれも違うあれも違うと掴みあぐね、いつか死の呼び声を聞いて終わりを迎えるだろう。
 職業は映画監督という。映画一本、コマを重ね合わせるとスクリーンは真っ白、靄の素顔を見せてくれる。一方フィルムは真っ黒。相手が靄の中の真っ白なら、フィルムメーカー・アンナは真っ黒だろう。この黒々アンナを偽り抑え込むようにアンナは笑わないし怒りも泣きもしない。いや、本人は何れもできないのである。
 何が悲しくてアンナの流謫の日々と付き合うのか?通して付き合うあなたこそアンナと似た「誰か」かもしれない。
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