KOUSAKA

アンナの出会いのKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

アンナの出会い(1978年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

シネマメンバーズにて、シャンタル・アケルマン監督の5作品を順番に鑑賞。

「女は子供を産まず、親を失えば何も残らないわ」って😣!・・このような旧態然とした女性観に対して静かに抗うアンナの姿は、2020年代の今だからこそ余計に刺さります。イーダのモラハラのあと、無の表情でタバコを吸うアンナの姿が印象的やった。

そんな価値観の違いも含めて、人間というのは本質的に(究極的に)孤独であることを突き付けてくる作品で、タイトル通り、アンナは道中で色んな人と出会うわけですが、結局100%分かり合える人と出会うことなく、最終的に自宅に戻ってきてしまいます。

最愛のお母さんですら、自身の性自認について吐露しても、理解はしてもらえなかったし(お父さんには言わないでおくわと言われただけ)アンナが「愛してると言って」と言ったからお母さんは「愛してる」と言ってはくれたけど・・。胸が苦しくなるシーンでした・・😣

なかなかの要人らしい恋人?のダニエルとのパートでは、体調の悪い彼のために薬局に行くまでの移動シーンが、例によってリアルタイム感のある長回しで、シャンタル・アケルマン以外でこんな移動だけのシーンをここまで長く撮る人おらんと思うけど、そのおかげで見ているこっち側も「薬局開いてるかなー、ダニエル大丈夫かなー、早く着かないかなー」と、アンナと同じ思考回路になりました。

ラストの留守番電話のシーンは、アンナの人間不信ぶりを表していて胸が苦しくなりますが、彼女が冒頭から連絡を取ろうとしていた元恋人のイタリア人女性からの(唯一)親密な留守電メッセージ「アンナ、どこなの?」は、アケルマン監督自らの声で録音したと後から知って、監督自身を投影したキャラクターであるアンナに、自らこのメッセージを届けたんだと思うと泣けました😭
KOUSAKA

KOUSAKA