菩薩

俳優 亀岡拓次の菩薩のレビュー・感想・評価

俳優 亀岡拓次(2016年製作の映画)
3.7
「俳優」としての姿を素直に直視できない人物が二人いる。一人は電気グルーヴのピエール瀧、もう一人がONちゃんの中身こと安田顕である。

瀧に至っては、いくら真面目な演技・台詞を並べられても、ケンタウロスや富士山に扮していた姿がチラつくし、ヤスケンに関しても、恍惚の表情を浮かべながら搾りたて牛乳を逆噴射する姿や、瀧同様黄色い着ぐるみを着込み小粋なステップを刻む姿がチラつく。

そんな怪優:安田顕がメジャー作品初主演に挑んだ作品、ヤスケンが演じるのは脇役なのに主役、いや主役なのに脇役の俳優、亀岡拓次。更には彼の脇を神戸浩、宇野祥平、不破万作と主役級の脇役が並ぶ。亀岡が仄かな恋心を寄せる麻生ちゃん、多少豊麗線の深みが気になるお歳を召してはきたが、まだまだ全然イケる。このキャスティングはズバリとしか言いようがない。水曜どうでしょうでも度々披露した酒好きをそのまま反映したかのようなキャラクターに、終盤キーアイテムになるスーパーカブ、おそらく横浜監督自身も水どうファンなのではないだろうか。オムツ放尿シーンはなかなかのインパクト。

なにはともあれ、かつて本人を目の前にして、「この社長の下じゃ食えないんすよ!」と言い放ったヤスケンの姿そのままだとは言え、売れてよかったね、おめでとう、ヤスケン。素人俳優ばかりが持ち上げられる昨今の邦画、こういった作品も正当に評価されて然るべき。
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