むらむら

ゾンビーワールドへようこそのむらむらのレビュー・感想・評価

5.0
連休中、ニートな俺は暇だったので、世間に何本のゾンビ映画があるのか調べてみた。

参考にしたのはWIKIPEDIAの"List of zombie films"の項目。WIKIPEDIAは当てにならないという人もいるが、このリストは、英語の割に、大林宣彦監督の「異人たちとの夏」や井口昇監督の「トイレット・オブ・ザ・デッド(ゾンビアス)」、インド発の「インド・オブ・ザ・デッド(Go Goa Gone)」なども網羅しており、熱いゾンビマニアたちが夜な夜なメンテナンスした苦労の跡が伺え、信頼しても良いと思う。

載っているのは全部で539本。史上初のゾンビ映画は1932年の「ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビ」だそうなので(無駄な知識)、90年間の間にこれだけ大量のゾンビ映画が作られたわけだ。

さすがのディズニーも「アベンジャーズ」を500本作るとは思えない(というか、思いたくない)ので、これはまさに、ゾンビ映画というジャンルの成し得た偉業だと思う。

年代別に制作本数を並べてみる。

1969以前 38本
1970年代 35本
1980年代 68本
1990年代 37本
2000年代 180本
2010年代 175本

こうやって分けてみると、1980年代に一度小ブームが来て、1990年代にはブームが去ったものの、21世紀に人気が復活したことが分かる(ゾンビだけに)。

以後、毎年20本近くのゾンビ映画が作られているわけだし、2010年に「ウォーキング・デッド」シリーズが始まったことも加味すると、本数はさらに増えてるっぽい。コロナもゾンビも増え続けるものだが、それと同じくらい、ゾンビ「映画」も増えているのだ!(ドヤ顔)

これは俺の推測なんだけど、映像需要の拡大と、ゾンビ映画との需給がマッチしている気がする。

・人を殺すシーンを、躊躇なく楽しめる(需要側の論理)
・メイクして歩かせれば良く、安上がり(供給側の論理)

昨今、ポリコレがひどくて、映画で人の頭を吹っ飛ばしたら、PTA団体がゾンビみたく全速力で走ってきて噛みついてきそう。そんなアゲインストな状況の中で、ゾンビってのは、とっても都合の良い敵役であり、適役なんだろうな。

そして、エロ要素。オッパイが簡単に出せるのも(俺的には)ポイント高い。

サメ映画を観てても、ビキニ美女のオッパイは嬉しくても、サメのオッパイは嬉しくない。

その点、ゾンビ映画なら、襲われる美女のオッパイに加え、稀にゾンビのオッパイも拝め、なんとなく、一粒で二度美味しい。左右のオッパイの微妙な違いを発見して2つ分の楽しみが出来たときのように、得した気分になる観客(俺)も多いと思う……って、段々、自分でも何を言ってるのか分からなくなってきた。

と、いうわけで、「ゾンビーワールドへようこそ」の感想に移る。

なぜならこの作品、上記に書いたような「ゾンビ映画のお得感」を体現したような内容だからだ。

簡単に言うと、陰キャのボーイスカウト高校生三人組が、ゾンビを相手に美女を守りながら戦う話。

いつかは俺もヒーローになれるかも、と、何の努力もぜず、夢だけは観続けている子供部屋オッサン(俺)の願望を濃縮還元したようなストーリーだ。

女の子とパーティーに明け暮れる陽キャの男子は皆殺しされ、ボーイスカウト三人組(オージー、ベン、カーター:名前がなぜかABCになってる)は、ヒーローとして武器を手にして、八面六臂の大活躍。

小学生レベルの下ネタギャグがトランポリンのようにポンポンと飛び交うなか、ゾンビの頭は派手に吹っ飛ばされ、無意味にオッパイを見せるゾンビもいる。ちなみにこのオッパイゾンビ、演じるのは、ミッシー・マルティネスという有名ポルノ女優らしい(※全く無駄な知識)。あとオマケだが、とあるシーンに出てくる猫が可愛い。

翻って、人間側でヒロイン役として登場する美女は、童貞の考える理想の美女、という以外、何のキャラクター的な掘り下げもない割り切りっぷり。ただしオッパイはデカい。

というか、途中、この美女が童貞くんを誘惑する下りがあるのだが、

「私にキスしてごらんなさい? キミのキスが上手いかどうか判断してあげるから」
「えっ、そんなことでき……ウグググっ!(と、美女に唇を奪われる。もちディープキス)」
「うふふ、キミ、上手いわね。このテクがあれば、彼女もイチコロよ!」
「あわわ……(ゴクリ)」

こんな都合の良い展開、俺がファンタジア文庫のラノベ編集者だとしてもボツにしそうだが、ゾンビ映画的な文法からするとパーフェクト!

「亭主元気で留守がいい」ではないが「美女はエロければ何でも良い」。……何の韻も踏んでなくて、書いて後悔しているが、端的に言えばそういうことなのだ。ああ、俺は、こんな経験が出来るなら、いますぐ死んで、このゾンビワールドに転生したい!と心から思っている。

ということで、一般的にはどうなのこれ? ってレベルで、素人童貞なゾンビ映画好きの子供部屋オッサン(俺)以外には刺さらない作品だとは分かりつつも、ごく一部(俺)の人のハートは完全に射止めてくれたので★5にしました!
むらむら

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