MikiMickle

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中にのMikiMickleのレビュー・感想・評価

4.0
時は1980年代。
野球推薦で大学に入学したジェイクは、レコードコレクションを片手に、野球部たちの集まる寮(ハウス)へと、意気揚々と入るっ♪
待っていたのは、変わり者で変な野球部の先輩たち。
大学の授業が始まるまでの3日間と15時間の話。

まず、とにかく、見ている間中ずっと笑顔だった‼
とりあえず、女の子‼酒‼パーティー‼ 時に野球も。
わたくし、文化系なものでして、体育会系のノリとかそんな好きではないはずなのに、とにかく見ていて微笑ましいというか、楽しそうというか、暑苦しさなんて全くないし、スポコンとか無縁だし、全力で青春を謳歌している潔さがひしひしと伝わってくるのです♪

ただのバカ騒ぎにならないところがこの監督の手腕だと思うのが、人物の描きかたの上手さと、台詞の知的さ。

出てくる野球部のメンツがなんとも愉快で、マリ ファナマスターだの、面倒見のよいフィンだの、自信過剰で切れやすい自称“野犬”だの、賭け事大好きだけど負けてばっかりのネズだの、のほほんとした新入生だの、異様な負けず嫌いの先輩だの、笑いとともに彼らがどんどんといとおしくなってくるのです♪

そんな彼らが髭とファッションをびっちり決めて、
ディスコに、カントリーバーに、パンクのライブに、アート系パーティーに、女の子とお酒とを求めて繰り出すという、ただそれだけの話なんだけれども、それもなんとも可愛げがあるのです。先輩は全くもって大学生には見えない老けっぷりだけれども(笑)
多少のいざこざがあっても、カラッとしていて、清々しいのです♪チームとしての団結力を感じたり…(目下、その目標はパーティーと女の子に向けられるんだけれどw)

またそれは、舞台が大学という事もあるかもしれません。高校のヒエラルキーも何も消え失せて、一個人が一個人として認められる場所。
そういった面で、自分の大学生活ともリンクし、なんだか、自分も彼らの一員にされてもらったような気がするのです♪

前述したように、台詞もやはり素晴らしいです。『ビフォア・サンライズ』シリーズでは、カップルの会話で映画を成り立たせた監督。『TAPE』にいたっては、完全なる会話劇です。
些細な会話から垣間見れる心情。押し付けがましさなどは一切なく、愉快でアホな会話の中に不意に現れる染みる台詞。インテリぶっているわけでも全くないので、素直に心に入ってきます。
また、彼は“時”を描く事が非常にうまいので、このたった3日間が、さも、永遠と続くような、しかし終わりのあるという切なさが、はっきり語らずとも伝わってきます。

この映画は、前作『6才のボクが大人になるまで』の、いわば続きとして描かれたものだそうです。『6才のボク~』は、6歳の少年が18歳になるまでの12年間を実際にずっと同じ俳優で撮影しました。その僕が大学に入ったらという裏設定があります。そして、この僕は、のちに『ビフォア・サンライズ』シリーズに繋がるとの事。リンクレイターワールドの一部なのです。また、初期作『バッドチューニング』のセルフカバーのような雰囲気もありました。あれも、高校生の青春の一ページを切り取ったような作品で、おバカな楽しさの中に、切なさが垣間見れるようなものでした。

今作の彼らは、高校では花形選手であり、大学にきてその実力の差を知るも、やはり屈指の強豪チームであり、でも、そこからメジャーに行く約束がされたわけでもなく、自分の限界を感じる者や、夢を持ち続ける者、希望に満ちた新入生、強さを誇示する編入生や、野球と仲間が好きでたまらないなど様々な思いが実はあり、その彼らが送るこの3日は、青春の縮図であると思うのです。

また、音楽もやはり素晴らしい選曲‼彼が音楽を大々的に取り扱ったものだとメジャー作品の『スクール・オブ・ロック』が有名ですが、今作でも、メジャー作品がかなり効果的にでています。オープニングのザ・ナックの「マイ・シャローナ」から始まり(この曲を聴くとジェネレーションXの青春映画『リアリティ・バイツ』を思い出す)、シュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・デイライト」を皆で歌うシーンなど、もう、楽しさしかないというか、陽気な奴等♪感が押し出されています♪ 題名はヴァン・ヘイレンのものだし、曲はそこそこメジャーなんだけど、雰囲気をがっちり演出していて、サントラ欲しくなります♪

ともあれ、本当にニコニコとした多幸感に包まれた時間でした♪悲壮感なんてない。切なさを感じたって書いたけど、全然切なくないし(笑)だって、まだまだ楽しみが続くしっ♪  短パン(ハーフパンツではない。短パンw で、タンクトップwださwww)の髭の、アホで愉快な仲間たちに笑わせてもらって、羨ましいなぁ、いいなぁ、最高だな、この仲間♪もっと続きが見たいわぁ‼その楽しさをもっとちょうだい‼ と、ほんと、清々しい気持ちで映画館をでたのです♪
MikiMickle

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