サトタカ

ノーザン・ソウルのサトタカのレビュー・感想・評価

ノーザン・ソウル(2014年製作の映画)
3.9
この映画は1974年のイギリス、マンチェスターが舞台。映画の中にブルース・リーに憧れる会話シーンがあったけど、イギリスの地方でもブルース・リーが人気だったのね。「燃えよドラゴン」が1973年だからそりゃそうかもね。

映画に出てくるソウル・ファンたちが聴かなそうなその年のメジャーなミュージシャンというと、カーペンターズ、オリビア・ニュートン・ジョン、ジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウン、エリック・クラプトンといったあたりなのかな。


いまいちイケてない高校生のジョン(エリオット・ジェームズ・ラングリッジ)は、ユースクラブでマット(ジョシュ・ホワイトハウス)に出会う。そしてそこで初めて聴くダンサブルな黒人ソウルミュージック、軽快なダンス、ドラッグ…そんなノーザン・ソウルというカルチャーに衝撃を受けてしまう。のぼせたジョンは高校をドロップアウトして、マットとコンビを組んでノーザンソウルDJとしての活動を始め、ノーザンソウルのNo.1 DJになるべくアメリカに渡って、地元では誰も持っていないようなレアなレコードを仕入れにいくことを夢見るようになる…。

たしかにそこまでドラマチックなストーリー展開はないが、かえってリアリティを感じる。DJ文化やグラフィティのオリジンに近いことをしているようだし、個人的にはかなり好きな青春映画。当時のファッションも見ていて楽しい。


ソフト・セルの1981年の大ヒット曲「汚れなき愛 (Tainted Love)」は、ノーザンソウルの女王グロリア・ジョーンズのカバーだったようなんだけど、あまりにもテクノ、ニューウェーブ風味かつマーク・アーモンドのいかがわしさ満載で全然カバーだとわからなかった。

ちなみにグロリア・ジョーンズはTレックスのマーク・ボランの恋人というか愛人であり、ボランを助手席に乗せて車を運転してたら事故ってしまいボランが亡くなり、グロリア・ジョーンズは声帯を痛めて歌えなくなるという悲劇に見舞われる。二人の間にできた愛息子ローランは現在、LAで音楽活動をしているらしい(そりゃこの二人の子どもなら歌うまいだろうね)。
ちなみにローランという名前はデヴィッド・ボウイが名付けたそうだ。ボウイはボランと仲がよかったんだよね。(ある意味アイディアぱくってるしw)
愛人と私生児という立場のグロリア&ローランには、マーク・ボランの遺産相続の権利もなく、シンガーのグロリアは声を失って台所事情がとても苦しくなってしまった…そこへ、デヴィッド・ボウイが現れて彼らの生活費やローランの進学費用を負担したんだとか…。ボウイ〜…イケメン過ぎるエピソード。

あと元ザ・ジャムのフロントマンで、いまではUKロック界の重鎮、ポール・ウェラーもノーザン・ソウル、好きだろうね。モッズが好きなのは有名だけど。スタイル・カウンシルでモータウンっぽい曲をヒットさせてたし、ソロでも「ヘヴィ・ソウル」なんてアルバム作ってたし。
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