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ククーシュカ ラップランドの妖精のmhのレビュー・感想・評価

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継続戦争(1941‐44)末期、フィンランドの僻地で言葉の通じない三人(敵同士と現地人女性)が交流するというハイ・コンセプトかつかわいらしいロシア映画。
とはいえ、その状況を成立させるまでが力技。
フィンランド軍の狙撃兵は戦いに疑問を持つようになる=親独の疑いがかけられる。ファンランド軍が退却する時間稼ぎのため鎖で繋がれる。SSの制服を着せられたのは、無理にでもソ連軍と戦うようにするため。
メガネのレンズを使って火を起こす。熱と熱湯で岩にダメージをあたえて鎖から逃れるくだりが面白いから、ごまかされちゃうけど回りくどいシチェーションに無理がある。
もうひとりは、軍法会議にかけられることになった赤軍将校。
ふたりを助けた女性は、亭主をなくしてから長い男ひでりの現地人(サーミ人)女性。
ククーシュカとはカッコーのこと。自軍から弾き出された兵士二人を親から捨てられた子どもとみなして、托卵先の巣にいたのがこの女性というコンセプト。
傍目には、フィンランド人(フィンランド語)、ソ連兵(ロシア語)、現地人(北サーミ語)だけど、ソ連兵だけフィンランド人をドイツ兵だと思っている=言葉が通じないから誤解がずっと解けない。
その誤解が最悪な事態を引き起こすのもやや牽強付会。ただ、その後の祈祷のくだりが面白い。(これがクライマックス)
振られたほうの男のひとにも、チャンスが巡ってくる作劇は素人っぽいんだけど、もうなんか全体がかわいいのでぜんぜん許せちゃう。むしろもっとやれ。
この手の、敵同士がコミュニケーションとれないまま一緒にいる映画って、「太平洋の地獄」「ノーマンズランド」「ボーダレス ぼくの船の国境線」とか、ちらほらあるけど、だいたいどれも面白いね。
やりたすぎておかしくなってる現地人女性が、ぜんぜんエロくなくてかわいかった。
映画を作ったのは、レンフィルム系列の会社みたい。
「モスクワは涙を信じない」でも思ったけど、ソ連(ロシア)製のコメディのかわいさってなんだろうね。
邦題についてる副題は謎。なんか別の映画とごっちゃにしてない? ジャケもまじひどい。
ただ、本編は最高にかわいい/面白かった。
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