和桜

ククーシュカ ラップランドの妖精の和桜のレビュー・感想・評価

3.5
ラップランドでフィンランドとソ連が戦争をしていた第二次世界大戦末期の話。負傷したソ連兵をサーミの女性が介抱している最中、懲罰から逃れたフィンランド兵が迷い込み、お互いの言葉が通じない中での奇妙な共同生活が始まる。
同じように戦時中言葉が通じない敵同士での生活が始まる作品に、グルジア紛争を扱った『みかんの丘』という作品がある。この作品が大好きなので、似たような本作の設定に期待しすぎたんだけど面白かった。

味方にはめられ軍法会議にかけられる予定だったロシア兵。ドイツの軍服を着せられ懲罰として仲間から置き去りにされたフィンランド兵。この手の映画は最初からお互いに敵対心剥き出しで、それが徐々に変化していくのかなと思ったら少し違う。
フィンランド兵は戦争が嫌になり逃げ出そうとした若者。言葉が通じないなりに名前を聞き初めかなり友好的で、自分は戦わないと訴えつづける。一方のソ連兵にそのことは通じず、ファシストとして警戒され続ける。それを仲介するのがサーミ人なんだけど、当たり前のように誰とも話が通じてない。それぞれが好き勝手に喋って噛み合わないまま進んでいく様子はある種のコメディなんだけど、不思議と絆が生まれ始めるんですよね。
見せ方の緩急が激しすぎて途中少し飽きたり、邦題に対しての露骨なブラックジョークはあまり好みではないんだけど、こうしたテーマの映画はやっぱり好き。もっと増えて欲しい。
和桜

和桜