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私はゴーストのunkoのレビュー・感想・評価

私はゴースト(2012年製作の映画)
3.7
いつの間にかアマゾンプライムで無料になっていたので、早速。
日本では、未体験ゾーンの映画たち2016で公開された。

田舎にある一軒家に憑りついている幽霊エミリー(アンナ・イシダ)は、毎日同じベッドで目覚め卵を焼き、パンを食べる。
そしてチーズ、パン、お花を外に買いに行くことが毎日のルーティンであった。ある日、いつものルーティンから外れ、ある部屋に行くと、女性の声が聴こえ…。

映画が始まると同時に、エミリー・ディキンソンの詩の一節の引用から始まる。
One need not be a Chamber — to be Haunted —
One need not be a House —
The Brain has Corridors — surpassing
Material Place —


この後にも続きがあるのだが、要は家や墓のような外界に存在する幽霊は恐ろしくもなんともなく、
自分の心の裏側に存在する"私(幽霊≒影)"を認識するとき、私の崩壊を意味し、一番恐ろしく対処のしようがない。と述べていると考える。
まさにこの映画はそれをそのまま描いている。

毎日の幽霊エミリーとしてのルーティンが霊媒師と接触することで、自身が幽霊になった因果を解き、生者だった時の心の裏側と向き合うことになる。
興味深かったのは霊媒師は幽霊と会話を交わすことができ、因果も解き放つことはできるが、解き放ち成仏した先は全くわからないということ。
謳い文句で「死者よ立ち去れ!光へと導かれよ!」とか成仏させようとするが、幽霊目線から見ると…。
結構恐ろしい…。

終盤でエミリーの影であるもう1つの存在が襲ってくるが、全く怖くないのが残念なポイント。どうしても俊雄を思い出しちゃってね…。

時間も短いし、目線も珍しい心理ホラーとして楽しめました。
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