サボレマーロウ

長い裏切りの短い物語のサボレマーロウのレビュー・感想・評価

長い裏切りの短い物語(2012年製作の映画)
2.9
これは、風景画でも人物画でもなく、多分、コラージュだ。南米の腐敗政権も、リチウムもその採掘権に関する契約文書も、汚染物質の不法投棄も株価操作も、断片的で表面的に散りばめられているだけで、どれも話に奥行きがない。ましてや、タイトルの裏切りさえも、何が、という感じを受けた。

そういう意味では、タイトルが不器用だ。誰が誰を裏切るのかと深深と見ていたが、そこにうなずけるものがない。夫婦と男女の吐息が裏切り?を確かにもたらしていたけど、それが果たして、長い裏切りなのかな。

ただ、日常の描写の中に、イタリア的な流麗さが漂っている感じがいい。

銀行の新しい経営者セシリア役のカロニーナ・クレシェンティーニと南米現地の控えめで清楚なガイド、マーベル役のフローラ・マルティネスとが演技も役柄も好対照で印象的だった。特にセシリアの勝気で堂々とした態度と、性に積極的なその肢体は魅力的だ。

ガイド役フローラをもっと見たいと思っていたら、エンドロールに踊りを披露、切ない曲調と絡み合って、最後を持っていった。
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