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フェアウェル さらば、哀しみのスパイのmimocyanのレビュー・感想・評価

3.8
自身の作品の印象とは違って、クストリッツァ監督て、かなり強面なんだなぁ…。
や、それはさておき。

東西の冷戦を終わらせる契機のひとつとなったフェアウェル事件の映画化。スパイものですが、中身はあんまり観たことないタイプのもの。よくある何をやってるのかイマイチわからない複雑さもなく、頭脳戦とか、ビリビリと張りつめる空気感もない。でも、これ自分の近い世界の話に思えて、そこがすごくリアルだった。ま、実話だから当たり前と言えば、そうなのだけれど。

外部である方のレビューを拝見して「この映画は普通のスパイ映画とは全く逆の構造をしている」っていう記述になるほど、と思った。
スパイなんて、自分とはかけ離れた世界のものに感じるけど、それをしてるのは同じ営みをもつ人間で、自分達と同じく、未来の希望とか、願いとかを抱いて活動に従事してる。
見終わったあと、この映画のコピーである「人は希望で動く。歴史は信念で動く」が重く響いてきた。
歴史に消えた名もなき変革者たち、その実像を垣間見ることのできる作品です。愛するものの、未来のために。
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