ゆうすけ

ぼくの伯父さんのゆうすけのレビュー・感想・評価

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)
3.5
なんだ、この映画は。
これが自分の知らない大昔の1950年代に撮影され、放映されていたなんて…
伯父さんの間と動きとその動線には感銘を受けた。
それだけで見ている側の興味をそそるそのプロとしての芸術は、なにものにも代えがたい商品に違いない。
しかし、伯父さんひとりでは成り立たないのがこの映画の真骨頂である。妹、その旦那、甥っ子、近所の家族、同僚、住人、伯父さんに関わる全ての人がある程度の存在感を持ち、伯父さんが各個人を惹き立てているのか、または、各個人が伯父さんを惹き立てているのか―
おそらく、この作品は、違和感こそが成立の方程式であり、心地よさを提供しているのだろう。ちらほら、表現し辛い気持ち悪さが横切る。でも、それがないとつまらない。ゴミを決して片付けない清掃員らしき人、伯父さんに褒められたい1階に住む少女、めっちゃ笑う近隣に住む奥さん、訳の分からない動線のマンション、などなど気になり始めたらキリがない。
魚の噴水はまさにその象徴である。
確かに、見ていて我慢できない人もいるだろう。それくらい退屈な側面も備わっている。ただ、決してこの作品は期待をするものではない。期待した側が悪いのである。何も考えずに見て欲しいとまでは言わないが、この作品を見ながら、今日の夕飯を何にしようかくらいなら当たり前に考えられる。
それくらいの距離感でいい。むしろ、それくらいの距離感を作らないと3.5以上は付けれないだろう。
ゆうすけ

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