JIZE

不都合な契約のJIZEのレビュー・感想・評価

不都合な契約(2014年製作の映画)
2.3
もうひとつの古典的なフィフティシェイズオブグレイ!!物語を紐解く鍵は鳩!!まず原題『Flying Home』とは"大急ぎで帰宅する"や"空路帰国"を指し主人公コリンの現状に見合う問題を通じ忠実にタイトル命名がなされています。また,今年2月に扱ったジェイミー・ドーナン主演『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015年)』では異なる恋愛嗜好を持つ支配側と従事側がすれ違いや相手の嗜好を享受し惹かれ合う一種異端でヘテロドックスな恋愛模様が三部作完結の第1弾にして濃厚に描かれましたが,本作『不都合な契約(2014年)』では冷徹な男が純粋な女に翻弄され悩みふためく真逆的とも言える大金持ちで証券マンな正統派を演じてます。ジェイミードーナンの最近作品を見返してもフラストレーション溜まり過ぎでしょ..感は否めないんですが。まぁ本作内容で描いてる事はよくある男女のワンパターン形式で要はクライアントの契約を成立させる為にジェイミー演じる主人公コリンがあの手この手で手段を選ばず自分の氏名や職業を隠蔽しクライアント主が以来する対象に無理駆使に近付き"ある物"を手にする為に契約を成立させようと蠢く訳でそれによりその大地で出会う愛する人に突き放されたりコリンが自身喪失に陥り葛藤部が描かれ...とまぁ設定自体は非常に背景含めクラシカルな造形でモダンテイストな騒々感は排除されてますね。で,展開自体も主人公が割と無口で厳格な人間な為か特別題材プラスαな釣銭も出ず黙々と格好良さげを狙う作風で単調に進む。まぁこの作品で唯一特殊要素なのが国際レースで優勝できる"鳩"なんですが識別データの入ったモノを足輪に装着しそれをスキャンすればレースにエントリー出来ると金持ちの考える事は理解し難く貴族の嗜みなのかこの辺は時代背景と共に漂います。また鳩を狙い目にチョイスする製作側の憎々しさも狙い過ぎ感が露呈しベルギー映画の風潮をトレースした結果なのかな。本作の美女と謳われるヒロインイザベラの魅力を通じる背景描き込みも田舎娘感が諸に出ててもう少し抑揚を持たせて頂きたかった。同時に抑揚のなさは全体的に指摘出来る点で今年扱ったマット・デイモン主演『プロミストランド』が本作と同じ様な題材で如何に抜き出た良作かと言う事を思い知らされる。起爆剤的な極悪非道な悪役がいないのも主人公を引き立てる手段で痛い箇所に思えた。あと終盤でコリンが最悪なミスをおかしそれまで観ていた身としても唖然とする描写があり,ソコの過度にもめ騒ぎにならずなんなりと鎮火する違和感を映画的に退屈でこの映画はどの方角に向かってるんだ⁉︎と首を捻らざる得ない。『フィフティシェイズオブグレイ』と本作は主演俳優が同じな点で対比されがちですが,全然本作の方が劣ってるし不都合いや不明瞭なコリンとタイトル命名を変えた方が逆にコメディ映えしウケる印象を抱きました。

今後ジェイミードーナンが主演を張る作品は結果的に全てこのようなダサい作風になるのかと思えば恐怖。とにかく主人公周りの陰鬱な曇る空気感や寡黙な性分が終始ノイズで私自身は退屈に思えその後の展開がどうなろうが早々にお会計済ませて下さいと噴飯物。作風設定も寡黙なら登場人物たちも全員寡黙って一体どういう事⁉︎...ただ,最後に言える事は中盤で主人公が車の走行中にタイヤを泥にはめその場から脱出する為に地声で苦しげな呻き声をあげるんですよ,でその呻き声が本物の私生活で発する脱糞時のような苦悶な表情を浮かべ『フィフティシェイズオブグレイ』のグレイより遥かにドスが効きデフォルメ的にそこだけホラー映画に作風が瞬間的に転嫁していく訳で要は彼のクレイジーな狂気質を再確認し『フィフティシェイズ』第2作目に備えたい方限定ではビジネス鑑賞を,お勧めです。
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