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航路 ハンロのアリのレビュー・感想・評価

航路 ハンロ(2014年製作の映画)
4.5
「航路」は金哲義さん金民樹さんによる関西の演劇ユニットです。
お二人ともに済州島にルーツを持ちながら、2008年以降、韓国籍と朝鮮籍という違いによって金哲義さんだけが韓国へ渡航できなくなってしまいました。
理由も明らかにされないまま、演劇仲間や自身のルーツである場所から引き離されてしまったのです。
韓国から毎月のように日本を訪ね、この映画を撮られたというキム ジウン監督は「政治問題ではなく人権問題だと考えています」と言われていました。

「朝鮮籍」は日本に特有のもので、いわゆる「北朝鮮」国籍ではありません。
そのような不安定な立場が生み出された歴史的背景からすれば、少なくとも「日本」は当事者です。
なのに今まさに日本で暮らすひとに起こっている酷い理不尽に私含めた大勢が無関心でいられることが、ショックというか、悔しく情けなく感じて仕方なかった。

何度も見逃していて、この7月にやっと見た作品でした。
お二人のことは全く知らずに見たのですが、いろんな感情がわきあがって、とても揺さぶられました。
今後、もしまた上映の機会が持たれた時には、私のように見逃してきたかたにきっと何かを感じて欲しいと願って、つたない感想を書き込んでいます。

「朝鮮籍」の旅行証明書問題だけでなく、演劇を通じて在日コリアンの歴史や思いを表現するお二人の活動に密着しているので、とても「お得」な映画ですよ。
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