近本光司

オトンの近本光司のレビュー・感想・評価

オトン(1969年製作の映画)
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コルネイユのテクストが一切の感情を抜いた早口の棒読みで発話されていく。はじめはがんばって科白を聞き取ろうとしていたが、次第にそんな気概も薄れてきて、役者たちによる発話の異なるリズムに身を委ねることにした。イタリア語、英語、スペイン語に訛った多様なフランス語が入り乱れている。棒読みのうちに音楽が流れていることに気づく。いったいどうしたらこんな演出に辿り着くのだろう。シネマテーク・フランセーズにて、レナート・ベルタのトーク付き。