これくらい動きを観ているだけで楽しい映画は珍しい。黄金像が倒れかけて人が次々に引っ張られる際の歯止めのなさが歯車の外から撮ることで演出されていたり、群衆を蹴散らしながら逆走する馬をトラッキングで追う等々の工夫が一々適切で憎らしいくらいだ。
ただ早く、ショットの密度を高めるのではなく動きの着地点を正確に図っているのも好印象だった。火矢を油布に撃ち込むショットなんかは発射から着弾まで押さえてある。
隊列を組むときに盾を横にはめていくときの拍子や燃える藁を城壁から落とす際の浮遊感等々挙げはじめたらキリがない。
LORに似ているようで全く編集センスの異なる傑作。