ふじこ

ポンヌフの恋人のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

これは愛なんだろうか…。
映像の美しさや撮影技術の素晴らしさやセンスは観ていて分かるし、延いてはパリそのものの美しさに良いですねぇ~となるのだけれども。

アレックスのそれも、ミシェルのそれも、愛だったのか?
そこだけが上手く理解出来ない故に、この映画自体 映像きれい ってだけのものになってしまった。
アレックスからはミシェルへの愛情ではなく物珍しいものへの執着や独占欲しか感じられず、生い立ち等が不明な為それが彼なりの愛情の示し方なのかも知れないけれどどう考えても怖いし、
ミシェルのそれは自暴自棄やファッションメンヘラを装っただけのものであり、"あなたを愛していなかった"の文字こそが真実であるような気がしている。けれども同時に振られた元恋人を撃ち殺すだけの苛烈さも持ち合わせていて、常に何かを天秤で図っているような裏があるように思えた。

美しい映像と対象的に、メインの二人はどちらも汚らわしいものであるとしか思えず、ラストもミシェルが試すようにアレックスを挑発し、彼等の針の上を歩くかのような関係がまだ続く事を示唆して終わる。
"まどろめ パリ!"は、まさに微睡みの中でしか上手く行く事のない二人を象徴するような台詞だと思った。そして長くは続かないのだろうと言う事も。
人を殺すことも厭わない二人の行く末がどうなるか分からないけれど、報われないで欲しいと思う。

あと、ミシェルは罪を償ったのか…?ハンスの言うとおりにしとくのが正解だと思った。
ふじこ

ふじこ