【荒野のヤリマン】
DVDで。ニコマンさんは好きで、久しぶりに母国映画に出るというのでみてみた。ヌードも売りにしていますが、以前からよく脱いでいるから有難味は薄し。
で、すごく面白い部分があるのに、そこを生かさない構成で台無しにしちゃったなー、と感じた。要は文芸ポルノに絞った方が、わかり易く強い映画になったろうと思うのです。
若い娘がオマタ方面で問題を起こした…らしく、豪州砂漠に引っ越してきた一家のお話。しかし原因を断たねば、何処へ行こうがオマタ問題ついて回る。で、娘がそうなったのは「引き継いじゃった」のか?…という謎が広がり、ニコマンさんがみるみるフォーカスされる。
ジョセフ・ファインズ演じるダンナは、暴君ぽいキレキャラに描かれますが、「子宮に蛇を飼う女」に挟まれたら狂いたくもなるよな、と少し同情しました。
スタッフ情報皆無でみたのですが、これ少なくとも監督は女性だな…と思ったら脚本・監督ともに女性でした。
ニコマン夫婦のセックスシーンに、最近(私は)見なかった説得力があります。セックスを観客への見世物でなく心理描写として使っていて、妻の欲求不満を通したその心具合がストンと伝わってくる。これは女性ならではの感覚でしょう。
もっと早くに性の問題に絞り、伝説話に視線を逸らさない方がよかった。結局、アボリジニの伝説が物語にどう影響しているのか、よくわからないんですよね。
セクシャルな欲望に憑かれた母娘と振り回される男たち、というシンプルな企画を女性特有の感覚で、この芸達者たちで展開するだけで、充分面白かったんじゃないかと思いました。舞台がオーストラリアである必然性もあまり感じられないし。
ニコマンさんはいいですねえ。濃ゆい美熟女でなく、キレイなおばさんという佇まいがリアル。それが狂うから悲壮に変わる。
売りのヌードは、実際はCGで脱がしてんじゃないかな。撮影時に要所は匿って。だって、じゃないと大事なトコロに砂入っちゃいません?
ヒューゴ・ウィーヴィングはいい感じに枯れましたねえ。昔はかなり特殊な顔していましたが、本作ではチャールトン・ヘストンのよう。
…まあ、ヘストンさんが元々特殊な顔していたワケですが。
<2016.10.24記>