柊渚

リベリオン ワルシャワ大攻防戦の柊渚のレビュー・感想・評価

3.5
文字通り「血の雨」が降り注ぐ。
数秒前まで人間だった肉の欠片が血とともに降り注ぐ。

「ポーランド人は誰からも見放された」
ナチス・ドイツ占領下のポーランドの首都ワルシャワで起こったWWⅡで最も悲惨とされるワルシャワ蜂起。
祖国と自由のためにこの戦いに身を投じた若者たちを描いた戦争映画。

最初はすごい軽いノリで蜂起軍に参加した若者たちが現実の残酷さを思い知り、徐々に変化していく目付きが非常にリアルで生々しい。

でもこの映画のテーマは「戦争」というより「殺戮」というのがしっくり来るように思います。とにかく戦闘描写がかなりえげつないです。女性や子ども老人らが情け容赦なく銃や手榴弾で殺され、ただひたすら瓦礫と死体の山がワルシャワの地に積まれていく。『プライベート・ライアン』の冒頭と同等、またはそれを凌ぐほどの地獄絵図が繰り広げられる。
(私の乏しい語彙力では伝えられない…)

ただそんな悲惨な描写ばかりかと思いきや、
銃弾が飛び交うなか唐突に挿入されるロマンチックな音楽とスローモーションによる謎のファンタジー描写に、なんでこのタイミングなのwwと突っ込まずにいられない!!!

圧倒的なシーンの連続で忘れかけるのですが、物語の軸は主人公とヒロインの恋愛なんですよね。(三角関係に陥ってたけど…)
抱き合う恋人たちの周囲を光り輝く軌跡を残しながらくるくる旋回する銃弾…
これはほんと観ていただけたらわかると思うんですけど、好みは別としてなかなか斬新な表現方法で私はおもしろかったです(*´∀`*)笑

あとは一心に主人公を想うヒロインが美人さんだったり、主人公が戦いに出向く直前に「置いていかないで…独りにしないで…」って泣いて縋る主人公の幼い弟が可愛すぎました(*ノД`*)

ポーランド映画は初めて観ましたが、蜂起するワルシャワ市民の抱える恐怖、希望が絶望に変わる瞬間の心理が伺えて、今まで見たことがなかった戦争の側面を見ることができた作品です。
柊渚

柊渚