くわまんG

リベリオン ワルシャワ大攻防戦のくわまんGのレビュー・感想・評価

4.0
青春ドラマの体で展開される、どぎつい戦争映画。ポーランド映画一世一代級のビッグバジェットでありながら、この色々トリッキーな作風はすごいですね。

みどころ:
肉片と血飛沫の雨
辛すぎるラストカット
迫力と緊張感十分の戦闘シーン
ギャグみたいな誇張演出が奏功

あらすじ:
ナチス占領下のワルシャワに住む青年ステファンは、戦争で夫を亡くした母と、まだ幼い弟と、貧しく苦しいながらも幸せに暮らしていた。
ある日、女友達のカマに誘われて訪れた先は、なんと人民解放軍の基地。元々秘めていた怒りの炎に、同年代からの触発と、そこで出会った少女アラとの恋心が油を注ぎ、母に内緒でレジスタンス参加を決意する。
これが使命と信じて疑わないステファン、息子をも失いかねないと知らぬ母、兄を止められず母にも言えず立ち尽くす弟、ステファンといられる喜びで胸いっぱいのカマ、そんなカマより熱くステファンを見つめるアラ。幾多の想いが交叉したその朝、希望と歓喜の狼煙が、惨劇の第一幕を開けた……。

青春時代の無知ゆえの全能感により、若者が革命の熱にのぼせ、銃弾が身体に入ってくるまで事の重大さに気づけないのがやるせない。バカみたいにコメディタッチな演出が、場違いにお気楽な彼らの精神状態を表しており、呆気なく迎える最期がこれと対照的で、倍やるせない。あれだけ情緒不安定だった母親が見せる冷静さと親子愛に、胸が熱くなる間もなく悲劇が続いて、もう限界。とどめに、さっきまでそばで笑っていた人達が肉片となって降り注ぎ、KO。

ここまでで全体の半分強。激情だけを頼りに歩みを止めない若者に付き纏う、死よりも陰鬱な影がますます濃くなるのを引き続き見送るしかなく、この時点で僕なんかはもうヘトヘトでしたね。それでも案外被ダメージ少なく観続けられたのは、おそらくあの独特の演出に、観客の辛さを軽減する工夫があるんでしょう。

連なる悲劇の山に埋もれそうになったところで、善意の連鎖が一筋の希望を見せてくれるのかと思いきや、ラストカットでとどめの絶望。思い出の中洲には、どう見ても一つの人影しか…。

いやぁきつい。まさに国をあげて作られた渾身作、啓蒙するには十二分でしょう。しかしきつい…。