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僕だけがいない街のRiNのレビュー・感想・評価

僕だけがいない街(2016年製作の映画)
2.9
本末転倒な話しますと、漫画は漫画でいんじゃね?ってことになっちゃうんですけどね。

これ、何度も言ってて恐縮なんですけどね、漫画ってビジュアルじゃないですか。登場人物の顔も、背格好も、住んでるアパートの部屋も、事故りそうになるバスも、飛んでいくバルーンの数でさえ、全部、あらかじめ絵で知ってるんですよ。それが、前提なんです。それって、映画にとってめちゃくちゃ不利じゃないですか。映像で驚かせられない、登場人物の特徴をフックにできない、どころか、下手打てば観客にぬぐいきれない違和感を与えてしまうわけですから。何を好き好んで、そんな真似するかって言いますとね、大多数の人間は、「初見」を嫌うからなんだと思うんです。
カラオケでは、どこかで聞いた曲を歌ったほうが喜ばれますよね?ファッションは、カッコいいモデルの履いてたニューバランスが欲しくなりますよね?味の想像できない食べ物は、極力避けますよね?
これと同じ理屈で、「すでに人気のある漫画が原作の映画」は多くの人から歓迎されます。
もっとぶっちゃけましょう、これらの映画は、原作の熱狂的なファンやコアな映画好きなんて、最初から相手にしていないんです。だってそこ狙っても大して稼げませんから。
もっと未開拓の、原作もちらっと読んだことあるくらいだし映画はあんまり観ないけど、友達や恋人や家族が行きたいって行ってるからたまには映画行こうかな〜新しくなったあのシネコン、きれいらしいよ?という層を狙って作られているんです。
金儲けの匂いがプンプンしますね!いや、わかるよ、お金は大事だよ〜♪

何が言いたいかというと、この映画はそれらの御多分に漏れていませんでしたよ、ということです。原作がよく練られていましたから、それにそぐって脚本を下ろせば駄作になりようはないですし、若干駆け足に感じたのは、漫画のほうが尺が十分に取れますから当然です。キャラクターにも、別段違和感を感じませんでした。結末のつけ方も、きれいにまとまっていて、ここがオリジナルなのは上手だなあ!と思いました。
原作のコアなファン!というほどではありませんので、本当のファンがどう感じたのかは知る由もありませんが、合格点かなあといったところ。
ですが、それ以上でも以下でもありませんでした。
いや、じゃあ漫画原作モノ見るなよって話ですよね、すいません。

願わくば、これを面白く見た人々が、原作にまで手を伸ばしてくれますように。
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