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マーロン・ブランドの肉声のAdeleのレビュー・感想・評価

マーロン・ブランドの肉声(2015年製作の映画)
1.0
自分の中でマーロン・ブランドといえば、欲望という名の電車や波止場等、比較的若い頃のイメージが強く、個人的には世間が言うほど、ゴッドファーザーのイメージは強くない

今作のドキュメンタリーでブランド曰く、役柄のイメージが強く、世間にはそのイメージ通りの人間だと思われてしまうとのこと
それも納得
ブランドは様々な役を演じたが、どれも強烈なイメージのまま残っているから

今作はドキュメンタリーだけれども、ブランド本人の肉声テープと当時の映像を流しているのみ
ブランドの知り合いなどが、彼はこういった人物でしたという暴露大会は一切なし
しかし、ブランド本人の肉声なのは間違いないが、彼の本心100%は明かされていないだろうと思う
当時の自分が感じた思いや出演作への評価等を淡々と話しているが、あくまで表面的なものに感じた
結局、人間の考えていることや思っていることなんて100%わかるわけがない
だから、ドキュメンタリーといえども、今作におけるブランドの発言も100%本心とは言えないのかもしれない
また、ブランドの自伝を読んだことのある人なら、特に目新しいことはないと思う

結局、全編観終わり、個人的に思ったことは、マーロン・ブランドは役者としては革命者だけど、人間としては繊細で傷つきやすく、世間のイメージは違い非常に心が優しく、生涯、愛や平和を求めていた人なんだなと
父は完全なる毒親で、愛した母もアル中で捨てられる
そして、慕っていた子守の東洋人女性も結婚を機に去っていく
これはあくまでも個人的臆測だけど、ブランドがエギゾチックな容姿の女性に惹かれたのは、この子守の東洋人女性の影響なのかなと
そして、数々の浮名を流したのも、捨てられた愛した母や子守りの女性から得られなかった愛情を求めるような反動だったのでは?と

また、出演作のプレミア等でマスコミやファンの黄色い歓声にビビり、少し戸惑った表情が印象的だった
スクリーン上ではあんなに自信満々に見え、態度が大きいなどと叩かれた人物が、人前に出るのを嫌がるのはとても不思議だった
けれども、タヒチの自然や人々に惹かれたという事実が彼の本心を語っているような気がしました
マスコミや騒がしいハリウッドよりも穏やかで平和なタヒチの方が本来傷つきやすく、繊細な彼には合っていたんでしょうね

また、今でも有名なアカデミー賞辞退でのシーンやその理由、公民権運動についても描かれていました
今から半世紀も前に彼は声を上げていた
『黒人のためじゃない、人類のためにやっているんだ』

マーロン・ブランドの熱烈なファンは少し物足りない内容かもしれませんが、個人的にはまた彼の出演作を見返したり、自伝を読みたくなりました
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