このレビューはネタバレを含みます
最高のコメディ。
現実主義的で毒舌厳しいエリート外科医の主人公。息子の挙動が妙だ。ゲイかもしれない、カミングアウトするかもしれない。とりあえず驚かずに受け入れよう、と家族で話していたら、出てきた言葉は「聖職者になりたい」。予想だにしなかった言葉に大混乱の外科医は息子をつけてムショ上がりの神父に出会う。
原語でなんと言ってるかわからないのだが、イタリア映画で、カトリックは蒙昧主義の極みだとか言ってた主人公が次第に神父に感化されていくのが面白い。終いにはまるで別の人。雰囲気から変わっていい演技だった。頭空っぽだったけど、聖書読み始めたら興味を持ってドラマをみてキリスト教にドハマリしていくお姉ちゃんかわいい。これぐらい本当は宗教って身近なものなんだよね。メンヘラでアル中なお母さんは学生運動に火をつける。あっちこっちでめちゃくちゃな家族。そしていきなりショッキングな最後。
最後のシーンは人によって解釈が違うよう。たしかに複数解釈が成り立つものではあるけれど、悲劇的なのはこの映画には似合わない。
神父が回復するには奇跡が必要で奇跡は神が起こすものであるが、果たして神は存在するのか?という問題提起に対し、最終シーンで梨が落ちたのは神の御業であり神の実在の暗喩。神が存在する以上奇跡は起こり得て神父は助かったというのが答えだと思う。