serina

神様の思し召しのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

神様の思し召し(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

@ayaka0203 7s recommendation.

最高に笑えて登場人物みんなを好きになれる映画。今まで見てきた映画って騙し合いとか気が狂ってる人たちしか出てこないものばかりだったからこんな映画があるとは自分の中の「イタリア映画のステレオタイプ」崩壊。でもイタリア映画らしい明るい皮肉はしっかりあるから楽しい。あんなバイブルスタディやる神父いないだろ。もしいるなら毎週「寄付金」持って通う。教会とかバイブルスタディってお祈りがメインじゃん。それやって信者認定されてること多いし、そういう信仰ぶってる集団より何百倍もいいけど。

何がいいって。俺に無料検診させろっていうのかって吐き捨てるトンマーゾがカフェで無料検診して処方箋書いてあげるシーン。あそこにこの映画の良さがぎゅっと詰まってた。

ピエトロがいつ死ぬかわからないみたないこと言ってて、誰か死ぬのかって思ったけど、あの展開でピエトロが命拾いしたってわかったら綺麗事並べた映画だなって陳腐なイメージついて終わってたかもしれない。

「神」という「見えない力」を信じることの美しさって、何気ないことに喜びを感じることができるようになることだって思う。例えば、木から梨が落ちるのは間違えなく「重力」だし、真夏のジメジメした朝に窓を開けて触れる涼しい感覚は間違えなく「風」だし、でもそんな自然現象が「見えない力のおかげ」とすることで美しさになって喜びになる。そこに気がつくだけで、人生の一瞬一瞬に深みが増して豊かになれるんだと思う。そういう意味で、この映画は、目の前に広がることが奇跡であることを教えてくれる。

人は起こりうることに抗うことはできないから、ピエトロの事故のように大怪我を負った人は回復することもあるし回復しないこともある、だから安易に使う「奇跡」ほど気持ち悪いことないなって思ったから、奇跡って言葉の使い方を考え直そうと決めました。
serina

serina