まめた

ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐのまめたのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは隠れた名作だと思う。
天才編集者が作家の原稿を共同編集してベストセラーをつくる話。編集者と作家の仕事への熱意と友情が書かれていてとてもよかった。家庭をかえりみないほど夢中に仕事にのめり込めるとはある意味幸せだろう。

編集者は黒子。大量の作品を読みダイヤの原石を発掘する。どういう本が売れるか、文章の作り方、芸術をみる目、感性も必要だし才能がないと出来ない。作家も命を削って書いた原稿を削られたり変更されたり苦悩がある。登場人物2人のやりとりから編集作業のあれこれが見えて面白かった。

本はエンターテイメント。日常の悲惨なことを忘れたり、退屈な日々に彩りを与えてくれる素晴らしいもの、自分たちの作るものに誇りを持っていることが見えて羨ましく思った。

ジュード・ロウは奇人の明るいキャラクターを誇張して演じていて物語を見易くしているとは思うが、もう少し上手い人がやれば質が上がったのではないかと思えてしまった。カンバーバッチとかジェームスマカヴォイとか。
コリン・ファースのパーキンズはあたたかい父親のような人柄が見えてとてもよかった。こんなお父さんがほしかったな。帽子は仕事モードの時にかぶっているんだろうか。最後のシーンでは帽子を脱いでトマスの手紙を友人として読んでいたんだろうな。トマスの最後の手紙の文章が飾り気なく素直な文体だったところが胸にきた。

パーキンズと仲違いしてからのトマスの死までの展開が早い。トマスのスランプ描写が足りないのかな。呆気ないように思えた。実話を元にすると変に脚色しにくいのだろうか。最後の方は盛り上がりにかけるのがとても惜しい。あとはトマスの演者がもう少し親子に見える見た目の若い役者にすればよかったのかも。

でもかなり秀作だと思う。好みの映画だから何回か見返しているほど。
これはパーキンズを主人公にしてドラマ化しても面白そうだな。
まめた

まめた