例えば「スペイン映画で何が好き?」と聞かれても、好き嫌いを語る前にパッと思いつくものが『REC』ぐらいしかないものだから困ると言うか、やたら合作が多い上に「スペイン/カナダ合作で舞台がUSA」とかオマエそれスペイン映画じゃないだろ的なものが大部分を占めるので、なかなか定義が難しいところなんですけどもね。
そんな中にあってスペイン映画らしい、というか他ではあまり見られない雰囲気を醸し出している本作。
少女惨殺事件の犯人を追う2人の刑事が奮闘するという割とありがちなログラインながら、バルセロナ・オリンピック前の、更に言えばNATO加入以前のスペインの田舎における特殊な事情がよくわかるなかなか珍しい映画でしてねコレ。
舞台はスペイン・アンダルシア地方。
アンダルシアつったらアレですよ。「アンダルシアに憧れて」なんて歌が昔ありましたが、ここに映し出されるそれは「憧れないアンダルシア」
この映画の難しい所は舞台であるその80年代くらいのスペインの時代背景や事情がある程度飲み込めないと、それでもなんとなくは理解できるにしろ、それを把握するのに時間が掛かって物語に追いつき辛いところでしょうか。
いやあくまで僕の場合は、ですが。
言うなれば『八つ墓村』をスペイン人に観せるようなもんですかね(適当)
そこらあたりは2回観れば理解は出来たんですが、1回目でもある程度予想はしてた折角のオチが更に台無しになる悲しさ。
とは言え、丸投げ一歩手前のラストをどう捉えるかで評価も違うと思いますが、全体的な雰囲気は好きでしたよええ。