ベテラン刑事と左遷されてきた若手刑事が、少女失踪事件を追うクライムサスペンス。
近年のスペイン映画はミステリーやサスペンスが特に素晴らしい完成度なんだけど、同時に示されるのがフランコ独裁政権下の出来事で、風化させてはならないという意志が強く感じられる。
そして、今作の舞台は1980年のスペイン南部アンダルシア地方。まさにその傷跡が癒えず禍根が目に見えて残り続けている時代設定。ミステリーとしては多少アンフェアだけど、そんな過去を交えながら二転三転と暴いていくサスペンス的な要素も十分だった。
なんといっても見所はラストで、バディムービーとしては物足りないなと思っていた二人の関係が色んな意味で一気に深まる。この映画の主題をかなり上手くまとめたと思う。
全体を通して未来に希望を抱く若者と、過去の既得権益から抜け出せない大人との分断と暴力が広がる
日本からは想像しにくい部分もあるせいか評価は低いけど、スペインで共有されている歴史を垣間見れたようで他のスペイン映画と繋がる部分も多かった。ゴヤ賞10部門受賞も納得の作品。
