エイデン

輪廻のエイデンのレビュー・感想・評価

輪廻(2005年製作の映画)
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映画監督をしている松村は、昭和最大の事件と呼ばれる“群馬ホテル無差別殺人事件”を題材にした新作『記憶』の脚本作りに情熱を注いでいた
昭和45年に起きたこの事件は、“尾野観光ホテル”にて宿泊客だった大学教授の大森が、実の子どもである優也と千里を含め、従業員や他の客まで計11名を殺害したという悲惨なもの
大森の妻 歩美だけが重傷を負いながらも生き残ったものの、事件後すぐに大森は自殺を遂げ、動機もわからないままという謎もよく知られていた
そして映画のオーディションが始まり、松村は女優の卵達を相手に審査を行う
最後に自己PRを行った由香という女性は、前世で殺されたことがあるため、殺される役に自信があると答えて強烈な印象を残すが、松村の目には違う女優が映っていた
後日 オーディションに参加していた“クラウン・プロ”の新人女優 渚の元に、『記憶』の脚本が送られてくる
マネージャーの村川はそれを合格の証であると確認し、渚に千載一遇のチャンスだと檄を飛ばすのだった
喜びを噛み締める渚だったが、何故かオーディションの日以降 人形を持った小さな少女の幻覚に付き纏われるようになる
それと同じ頃 大学生の弥生は、自分が赤い屋根のホテルにおり、そこへ何者かが近づいて来るという不気味な雰囲気の夢を見るようになっていた
母親に相談したところ、幼い頃も同じ夢を見ていたことに気が付いた弥生は、講義で教授が説明していた“クリプトムネジア現象”のことを思い出し、自分が前世の記憶を見ているのではないかと考えるようになる
しばらくして、歩美の協力も取り付けて脚本を完成させた松村は、ついに『記憶』の撮影を開始しようとしていた
映画では事件の被害者にスポットを当て、渚ら集められたキャストは、実際の被害者を演じることになると説明
順番に役名が発表され、渚は当時10歳だった大森の娘 千里という、最後に殺害されたという事実上の主役を演じることとなる
しかし渚はホワイトボードに貼られた当時の被害者の写真から、最近 姿を現している幻覚の少女が千里であると確信
不穏な思いを抱える中、『記憶』の撮影が始まるが・・・



Jホラーシアター3作目

タイトルにもある輪廻、生まれ変わりを題材にした純ホラー

画的な強烈さは薄いものの、清水崇監督が手掛けただけあって雰囲気作りは抜群
真っ昼間ながら、陰惨な事件の噂が染み付いた廃墟というシチュエーションを存分に活かして、じっとりとした雰囲気が楽しめる
時折出てくるホラー描写も志村、後ろ!系で気取らずに緊張感を高めてくれる

過去と現在、前世と現世が交錯する映像は若干ややこしいけど面白い
前世の記憶から徐々に明かされていく事件の全貌は、良い塩梅のスリルもあって思いのほか面白い

ジャパニーズ・ホラーの回帰というJホラーシアターシリーズに、その草分け的存在の1人である清水崇が監督をしている時点で間違い無く、しっかりと欲しいものを提供してくれる
安定的な面白さがあってオススメ
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