ハル・ベリー主演。
目を離した隙に息子を誘拐されたシングルマザーが、単独で犯人の後を追う——。
全編ほぼカーチェイスのノンストップ・アクション。
とは言え、クラッシュなどに派手さはない。予想のつくストーリーでもあるため、テレビドラマの延長線にも映る。
また、あえて見せ場を作ろうとしたのだろう、ところどころで散見される、犯人と母親の脇の甘い行動にもイライラする。犯人も母親も、自らピンチを招いた感は否めないだろう。
こうしたツッコミどころは多数あるものの、最後の最後まで手に汗を握る内容は良い。
一か八かのギャンブル的行動ながらも、身を挺して犯人を追い詰めていく展開は非常にスリリングだし、余計なエピソードを挟むことなく、90分程度にまとめられているところも好印象。
何より、ハル・ベリーの迫真の演技がお見事。美貌が台無しになるほど悲哀に満ちた表情からは、切迫感がひしひしと伝わってくる。
決して世間の評価は高くないが、オスカー女優のハル・ベリーが演じたからこそ、映画として成り立つ作品だと思う。
