セサミオイル

永い言い訳のセサミオイルのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.5
映画公開から数年ぶりに鑑賞。

映画ではあるがエンタメというより文学的な穏やかな時間が流れる映画。

リアリティーショーかと言うくらいリアルな人物描写。
次々と出てくる主要人物の人となりが手に取るように『解る』ようにみせてくれる。

職業、年収、自分は人からどう見られたいかなどは映像で語って見せてくれる。
細かな性格を表す描写もあっさりした描写だけどかなりすごい。色々あるが特に妹さんが洗濯物を畳むシーンなんか秀逸。(そういや『ゆれる』でも洗濯物畳むシーンすごかったよね!なんなんだろうw)
あと、主要人物それぞれの感情のトリガーとなるもの、喜ぶポイントとキレるポイントの両方見せてくれる。
その人にとって何が1番の興味の対象なのかという事も物語上で見せてくれる。
登場人物の人となりが分かった上で果たして彼らの身にこんなことが起こったら彼らはどういう反応をするか、どんな振る舞いになるのかといったシミュレーションになるんだけどもこれがまたリアル。
例えば知らないおじさんが家にきて、子供がおじさんの事を味方だと認識するまでの割と短い時間、プロセスがとってもリアル。自分でも初対面の人とはこんな感じだよなと思う。演出がほんとに日常的ですごい。

細かに語ってたら壮大なテーマに届かない(笑)

でもこの映画の肝って細かさにもあるんじゃないかなとも思うんですよね(ゆれるもそうだと思う)。
細かくキャラクター設定された登場人物同士を会わせて、事件起こして。先述したけども何かが起こった時の反応の描写も演出に対する細かな気遣いを積み重ねで、それが一塊になってこっちに迫ってくるから結果的にシーンに妥当な質量が生まれるんだと思うよ。
でもこれってほんとにすごい事だと思います。